2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15320006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
服部 裕幸 南山大学, 人文学部, 教授 (40110754)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 輝雄 南山大学, 人文学部, 教授 (80148303)
大沢 秀介 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50233094)
美濃 正 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (70181964)
戸田山 和久 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (90217513)
柴田 正良 金沢大学, 文学部, 教授 (20201543)
|
Keywords | 帰納主義 / 主観的確率 / ベイズ流統計的推論 / 人間原理 / 終末論法 / 自己選択原理 / 統計的リアリティ |
Research Abstract |
本研究の目的は確率論的推論や統計的推論によって得られる結論の意味するところを解明するところにある。3年計画の研究のうち、初年度である今年は、歴史的観点からは主として、近世、近代における確率論的議論の実態を研究した。具体的には、ヒュームの奇蹟論における議論の検討と、社会科学の分野における統計学の適用とその背景の研究である。その結果、ヒュームの議論をベイズ流の議論の適用と解釈するのは厳密にいえば(すなわちヒューム解釈という観点からは)妥当ではないことが明らかとなった。また、統計学の社会科学への適用という問題について言えば、デュルケームにおいて統計的リアリティの概念が明確に読み取れることが明らかとなった。理静的観点からの研究としては、主として宇宙論における人間原理的推論や終末論法の研究をおこなった。まずは、カーターの議論の構造を正しく理解することからはじめ、その基礎に三浦の言う「平凡の原理」(≒自己選択原理)があることを確認した。そしてまた、これを他の場面に応用したものが終末論法であることを明かにした。しかし、終末論法における「平凡の原理」の適用に問題が無いかどうかという点はまだ十分に解明しきれてはおらず、今後も引き続き研究する必要のあることが判明した。 今年度は定例の研究のほかに、10月に中才敏郎氏を、1月には重田園江氏を講師に招き、特別の研究会をも開いた。また、9月には、確率論的推論の対極に位置する、演繹的推論とそれによって得られる確実な知とそれに関連する真理の概念を集中的に研究し、確率論的推論によって得られる結論の特徴をより際立たせることも試みた。その結果として、統計的、確率論的推論のセマンティカルな特徴付けが十分でないことが判明したが、この点の発明も、次年度の課題である。
|
Research Products
(9 results)
-
[Publications] 服部裕幸: "AI研究および認知科学に対するジョン・ケールの批判"アカデミア(人文・社会科学編). 77号. 81-103 (2003)
-
[Publications] 柴田正良: "The Exclusion Problemとエピフェノメナリズム"理想. 672号. 69-82 (2004)
-
[Publications] 金子善彦: "アリストテレスの魂論における形相と因果"人文学報. 335号. 97-123 (2004)
-
[Publications] 伊勢田哲治: "外的世界にたよらない信頼性主義"科学哲学. 36-1号. 15 (2003)
-
[Publications] 横山輝雄: "工学倫理と科学倫理"アカデミア(人文・社会科学論). 78号(3月刊行予定). (2004)
-
[Publications] 出口康夫: "さいは投げられたのか-確率論の応用の正当化と科学的経験の超越論性-"哲学研究. 576号. 44-89 (2003)
-
[Publications] 戸田山和久: "心の科学と哲学"昭和堂. 300 (2003)
-
[Publications] 久田晴則: "文化のカレードスコープ"英宝社. 364 (2003)
-
[Publications] 戸田山和久: "誇り高い技術者になろう:工学倫理のススメ"名古屋大学出版会(3月出版予定). (2004)