2006 Fiscal Year Annual Research Report
平山郁夫コレクションのアフガニスタン・パキスタン出土仏教写本研究
Project/Area Number |
15320011
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Research Institution | BUKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松田 和信 佛教大学, 文学部, 教授 (90268128)
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Keywords | アフガニスタン / パキスタン / 平山郁夫 / 仏教 / 賢劫経 / 長阿含経 / スコイエン / ガンダーラ語 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1990年代初頭にアフガニスタンのバーミヤン渓谷およびパキスタンのギルギットから発見され、ノルウェーのスコイエン・コレクションや米国のアダムス・コレクションをはじめとする海外の蒐集家、および我が国の平山郁夫画伯らに分割して引き取られたサンスクリット語やガンダーラ語による大量の仏教古写本類のうち、平山郁夫画伯のコレクションに含まれる写本類を中心に取り上げ、スコイエン・コレクション等の他のコレクションに含まれる仏教写本研究に従事している海外共同研究者とともに関連資料と比較しつつ解読研究を行って出版を目指すものである。平山郁夫コレクションに含まれる写本類の中で最も重要な資料は、パキスタンのギルギットから発見された説一切有部教団に属する『長阿含経』のサンスクリット語樺皮写本である。これは本来、全453葉よりなる写本であったことが判明しているが、平山郁夫コレクションは、この中の53葉を入手している。本年度は、前年に引き続いてこの長阿含経写本の解読を継続し、53葉に含まれるAtanatiya-sutraの解読とテキスト校訂を終えた。さらに平山郁夫コレクションが入手しているガンダーラ語によるカローシュティー文字貝葉写本類の中から『賢劫経』の写本断簡を発見し、それらをローマ字転写して、チベット語訳および漢訳との比較研究を行った。分析の結果、これは紀元2-3世紀に遡る、現存最古の大乗経典写本であることが判明した。本年度は4年に亙る研究の最終年度であるが、全体の研究成果については研究成果報告書において公表する。
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