2004 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間のドイツにおけるゲルマンとスラブの文化接触とその歴史的意義
Project/Area Number |
15320041
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 賢一 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 助教授 (00309072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諫早 勇一 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 教授 (80011378)
高木 繁光 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 助教授 (00288606)
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Keywords | ワイマール共和国 / ドイツ / ロシア / ナボコフ / ドフトエフスキイ / 映画 / 表現主義 |
Research Abstract |
本年度は本共同研究の2年目に当たり、各研究分担者は自らの専門領域から、時間的には「両大戦間」期へ、空間的には「ドイツ」へと調査対象を次第に狭めていった。 研究代表者松本は、ドストエフスキイをドイツの文学界がどのように受け留めたのかという跡付け調査に着手した。ドストエフスキイの受容は両大戦間期に突発的に生じた現象ではなく、既に19世紀末のドイツ自然主義の流行時にその端緒が見られること、そしてこの段階で既にドイツにおけるドストエフスキイ評価が、もっぱらその心理描写に向けられているという知見を得たが、このような一面的なドストエフスキイ理解は、ニーチェによるドストエフスキイ理解やワイマール期のドストエフスキイ理解にみられるゆがみの原型となった可能性もある。 研究分担者諫早は、両大戦間のベルリンを中心とする都市文化の研究を行なった。従来のエンターテインメントや消費文化中心の都市研究から、交通機関へと研究の幅を広げ、それらの総体としての都市文化が、当時ベルリンにあったロシア人亡命者によってどう受け止められ、その文学にどう反映しているのか、というのが主たるテーマであるが、その成果の一端は、6月発行予定の書評(レヴィング著「駅・ガレージ・格納庫:ウラジーミル・ナボコフとロシア・アーバニズム」に発表される予定である。 研究分担者高木は、両大戦間のロシア、フランス、ドイツの代表的なドキュメンタリー映画(「カメラを持った男」(ロシア)、「アタラント号」(フランス)、「伯林--大都会交響曲」「日曜日の人々」(ドイツ))において、都市の動力としての機械の円環的反復的運動が、都市生活者の行動の反復性・画一性との関連でどのように表象されているのかを分析した。
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