2003 Fiscal Year Annual Research Report
指示と照応に関する理論的・実証的研究―経験科学としての生成文法を目指して
Project/Area Number |
15320052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上山 あゆみ 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (70221801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TANCREDI Christopher 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80251750)
郡司 隆男 神戸松蔭女子学院大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10158892)
田窪 行則 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10154957)
蔵藤 健雄 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60305175)
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Keywords | 生成文法 / 日本語統語論 / 英語統語論 / 照応 / 指示 / 国際研究者交流:アメリカ |
Research Abstract |
本プロジェクトの根幹をなすのは、一致現象が顕在化していない日本語でも、文の「構成的意味(compositional meaning)」に注目することによって、文法の働きを観察することができるという主張である。意味に関わる観察をデータとする以上、語彙の意味とその統語構造によって表される、文の構成的意味と、一般知識に言及して得られる非言語的・運用的な意味を峻別することが非常に重要な課題となる。本プロジェクトで特に注目するのは、構成的意味と運用的意味のどちらも関与しているように見える束縛変項照応(bound variable anaphora:以下、BVA)解釈である。本プロジェクトでは、経験科学としての生成文法研究という基盤は保持した上で、この現象に関して異なる見解を持っている研究者を招き、徹底的に意見をたたかわすことによって、より高いレベルの理論を構築することを目指している。 メンバーには日本在住の研究者とアメリカ在住の研究者がいるため、効率よく議論が進められるように、メンバーのみが閲覧することのできるウェブページを準備した。いわゆる掲示板システムを利用したシステムであるが、単なる情報の掲示ではなく学術的な意見交換なので、各記事の関連性が明示的であること、そして、過去の記事をキーワードによって簡単に検索できること等に留意した。 2003年度は、ウェブ上での議論に加えて、九州大学にて2回、日本語話者の研究者を中心としたミーティングを行った。このミーティングでは、特に再構築現象(reconstruction effects)と残留表現(resumption)に注目し、参加者自身が交互に被験者になることにより、どのような実験手法をとることによって、再現可能性(repeatability)を高めることができるかを検討した。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Hajime Hoji: "Falsifiability and Repeatability in Generative Grammar: A case Study of Anaphora and Scope Dependency in Japanese"Lingua. 113/4-6. 377-446 (2003)
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[Publications] Hajime Hoji他: "Demonstratives in Modern Japanese"Functional Structure(s), Form and Interpretation : Perspectives from East Asian Languages. 97-128 (2003)
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[Publications] 田窪 行則: "言語の形式的アプローチと機能主義的アプローチ"日本語学. Vol.22 No.9. 6-11 (2003)
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[Publications] 郡司 隆男: "意味と論理"ことばの科学ハンドブック(研究社). 151-194 (2004)
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[Publications] 郡司 隆男: "日本語のアスペクトと反実仮想"Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin. No.6. 21-34 (2004)
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[Publications] 蔵藤 健雄: "Plurality, Definiteness, and the Semantic Parameter"Lnaguage and Linguitics, Academia Sinica. 5. 211-242 (2004)
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[Publications] 蔵藤 健雄: "A Remark on Argumentation in OT Syntax : Legendre's Analysis of Romanian Verbal Clitics"琉球大学教育学部紀要. (出版予定).
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[Publications] 蔵藤 健雄: "A Formal Account of the Epistemic Modal Scale : With Special Reference to Should, Must, and Their Japanese Counterparts"琉球大学欧米文化論集. (出版予定).
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[Publications] Hayashishita, J.-R.: "Restriction on Covert Movement - Evidence from Comparative Ellipsis in Japanese"Japanese/Korean Linguistics. 12. 243-254 (2003)
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[Publications] Hayashishita, J.-R.: "On Adnominal 'Focus-Sensitive' Particles in Japanese"Japanese/Korean Linguistics. 13(出版予定).
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[Publications] Yukinori Takubo他: "Lexical Manifestation of an Extensionalizing Operator in Japanese"The conference handbook of the Second Seoul International Conference on Discourse and Cognitive Linguistics. 593-604 (2003)
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[Publications] 上山 あゆみ: "日本語の比較構文についての一考察"文学研究. 101. 45-67 (2004)
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[Publications] 片岡喜代子: "日本語否定文の構造:かき混ぜ文と否定呼応表現"九州大学大学院文学研究科 学位申請論文(出版予定). x+207
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[Publications] 郡司隆男他編: "ことばの科学ハンドブック"研究社. x+281 (2004)