2004 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法に基づいた言語の脳科学-失語症,ERP,MEGによる統合的研究-
Project/Area Number |
15320053
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
萩原 裕子 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (20172835)
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Keywords | 事象関連電位(ERP) / 統語処理 / Scrambling / 右方転位 / 三項動詞文 / LAN / P600 |
Research Abstract |
事象関連電位(ERP)実験では、128チャンネル脳波装置を用いて日本語の左方転位かき混ぜ文、右方転位文,三項動詞文、言語と数学的計算の異同、などの転位現象の実験を行った。1.左方転位かき混ぜ文のフォローアップ実験では、前年度の結果の再現性が確認された。2.右方転位文の実験では,名詞句および付加詞どちらの転位においても陽性成分(P600)が認められたが、頭皮上分布の点では、項では左前頭部に,付加詞では右側頭〜頭頂部に大きな活動が認められ,項と付加詞の処理では脳内基盤が異なることが示唆された。3.三項動詞文の実験では、動詞句内かきまぜ文(ガ-ヲ-ニ)が標準語順文(ガ-ニ-ヲ)に比べて、動詞の出現時に統合を表す陽性成分が観察された。これは、転位要素が構造へ統合する位置が構文によって異なることを示唆しており、従来の統語解析理論への再考を促すものとして注目される。また、構文の種類にかかわらず、いずれの実験においても転位要素の構造への統合では左前頭部での陽性成分が観察されたことより、言語処理における構造への統合は、左前頭部が深く関与していることが示唆された。4.言語の統合と数学的計算の統合について、処理メカニズムの異同を検討した。その結果、両者で部分的には重なるものの、計算の統合では、言語の統合では活性化しない右頭頂部での活動が示されたことより、言語機能のモジュール性を部分的に支持する結果を得た。5.脳磁図(MEG)による研究では、従属節内での短距離かき混ぜ文を取り上げ、前年度に行った長距離かき混ぜ文の結果と比較検討した。その結果、統合が行われる位置には転位の距離と構文の複雑さが大きく影響することが分かった。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Multi-language area activities in sentence reading.2004
Author(s)
Kuriki, S., Watanabe, N., Takeuchi, F., Hagiwara, H., Soshi, T., Koso, A.
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Journal Title
BIOMAG2004 14
Pages: 286-287
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