2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15320060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大門 正幸 中部大学, 人文学部, 助教授 (70213642)
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Keywords | 古英語 / 行間注解 / 語順 / 基底語順 / 生成文法 / 助動詞 / 非定型動詞 / ラテン語 |
Research Abstract |
Lindisfarne Gospelsにおける古英語行間注解について、次の作業を行った。 まず、ラテン語1語に対して複数の古英語単語が割り当てられている場合、単語の語順が古英語として自然な語順になっていることを確認するためにラテン語名詞が「冠詞+名詞」(順不同)で置き換えられている例を全て調べた。調査の結果、2447例中、名詞が冠詞に先行する例はわずか2例に過ぎず、ほぼ全ての例が通常の散文で見られる「冠詞-名詞」語順になっていること、すなわち行間注解の語順が古英語の自然な語順を反映していることが確認された。 次に、基底語順の解明に重要な役割を果たす、助動詞と非定型動詞の語順について調べるために、ラテン語の動詞1語が行間注解では助動詞と非定型動詞の2語、あるいはそれに主語などの要素を加えた3語以上に訳されている例について、助動詞と非定型動詞の語順という点から調査を行った。その結果、次の3つの興味深い事実が明らかになった。 まず第1に、節や助動詞の種類に関わらず「助動詞-非定型動詞」語順、「非定型動詞-助動詞」語順のいずれも頻出するので、どちらの語順も自然な語順であると認めざるをえないということである。 第2に、助動詞の種類、すなわち助動詞がBE動詞か法動詞かによってそれぞれの語順の頻度が大きく違うということである。 第3に、主語の有無が、特に助動詞がBE動詞の場合、語順に大きな影響を与えているように見えることである。 現在、これらの事実をスカンジナビア語の影響として分析することが可能かどうか検討を進めているところである。 なお、今回の調査結果はデータベース作成用ソフトを用いて、多角的な検索(たとえば、助動詞の種類による検索、主語の有無による検索、主語が人称代名詞かどうかによる検索、主語と助動詞の倒置が含まれているかどうかによる検索、など)が可能なようにデータベース化した。
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