2003 Fiscal Year Annual Research Report
談話研究と日本語教育の有機的統合のための基礎的研究とマルチメディア教材の試作
Project/Area Number |
15320064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
宇佐美 まゆみ 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (90255894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郡 仁朗 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (20228175)
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Keywords | 談話研究 / 日本語教育 / マルチメディア教材 / 自然会話分析 / 自然会話コーパス / 会話教育 / 文字化の原則 / ディスコース・ポライトネス理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、情報工学の成果を活用しつつ、談話研究と日本語教育の有機的な統合を行うための基礎的研究を行うこと、及び、その成果の一つとして、自然談話データ・コーパスの分析結果に基づく、会話習得のためのマルチメディア教材の試作を行うことである。また、膨大な時間と労力がかかる自然会話データの分析の効率化、精緻化を促進するため、科学的で、共有しやすい手順に従って文字化した談話コーパスを構築し、広くデータを共有化することも目指している。 本年度は、基礎的研究としては、まず、これまで約5年をかけて開発・改良してきた「基本的な文字化の原則(Basic Transcription System for Japanese : BTSJ)」(1997)及び、その改訂版(2003)のさらなる改訂と、韓国語版、中国語版の作成を進めた。 また、日本語の談話だけでなく、日本語学習者の母語における談話レベルの言語行動の特徴がいかに日本語運用に影響しているかを分析するために、韓国語、中国語(台湾)、ポーランド語、及び、日本語接触場面の談話データを新たに収集・分析するとともに、既存のデータの整備・コーパス化を進めていった。 また、これらに基づき、ディスコース・ポライトネス理論を発展させ、異文化接触という観点から論文にまとめた。また、「高齢者とのコミュニケーション」についても考察した。 更にこれらのデータを分析した成果に基づいて、マルチメディア教材化について研究するため、「多言語・多目的別の談話コーパスの構築」に関する予備調査(授業見学・録画、日常会話の録音、日本語教師や研究者からの情報収集等)、及び、「Webを利用した外国語教育(日本語教育)」の海外ニーズ調査を行った。また、Web上で活用できるようなマルチメディア教材(敬語行動について)を試作し、マルチメディア教材の開発に関する論文をまとめた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 宇佐美 まゆみ: "高齢の患者との接し方-主に、言葉遣いを中心に"『皮膚病診療』協和企画. 25・13. 13-19 (2003)
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[Publications] 宇佐美 まゆみ, 李恩美: "初対面二者間会話における「丁寧度を示すマーカーのない発話」の日韓対照研究"韓国日語日文学会2003年度国際学術発表大会・夏季学術発表大会発表論文集(韓国日語日文学会). 99-106 (2003)
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[Publications] 宇佐美 まゆみ: "異文化接触とポライトネス-ディスコース・ポライトネス理論の観点から-"国語学. 54・3. 117-132 (2003)
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[Publications] 宇佐美 まゆみ: "(別冊 総合ケア)高齢者との対話のありかた-よりよい世代間コミュニケーションのために"住み慣れたまちで最期まで暮らす. 109-121 (2003)
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[Publications] 西郡仁朗, 小松恭子, 尾崎和香子, 馮秋玉: "中国人初級日本語学習者の有声音・無声音の知覚について〜マルチメディア教材の開発と学習効果〜"日本語研究. (印刷中).
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[Publications] 西郡仁朗, 朴良順, 崔文姫, 朴志仙: "韓国人初級学習者の日本語有声無声音の聞き取り〜マルチメディア教材の開発と学習効果〜"日本語研究. (印刷中).
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[Publications] 宇佐美 まゆみ(総監修): "高齢者コミュニケーター講座テキスト"ニチイ学館. 127 (2003)