2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代における「考古学」の役割の比較研究-その本質的表象と政治的境界の関連を軸に
Project/Area Number |
15320079
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
余語 琢磨 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教授 (00288052)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 英文 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20214025)
谷川 章雄 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40163620)
寺崎 秀一郎 早稲田大学, 文学学術院, 助教授 (90287946)
|
Keywords | 考古学 / 表象 / 国民国家 / 植民地経験 / 環太平洋地域 |
Research Abstract |
1.資料の収集と分析:(1)収集した諸出版物・研究・教育の表象をもとに,考古資料の恣意的な利用が国民国家およびその植民地の「境界」の内なる統合/外との差異化を強調した事例を環太平洋地域のなかで比較・分析し,その類型を明らかにした(投稿中)。(2)西南諸島担当の研究協力者は,具体的な考古資料への過去の評価をもとに,日本/西南諸島/奄美地域という重層的「境界」認識がいかに反映されたかを探求した(一部発表済)。(3)フィリピン担当者は,多民族国家において,考古資料が現在の民族構成といかに安易に関連づけられるかについて分析した(一部発表済)。(4)ラテンアメリカ担当者は,ホンジュラスおよび隣接国の文化・先住民政策を比較し,その意識差と政治の関連性について考察した(発表準備中)。(5)日本・韓国担当者は,史跡・文化財制度とその指定対象のなかに表出する「国家」について研究をまとめた(発表準備中)。 2.ワークショップの開催:研究代表者・分担者・協力者によるワークショップを,東京および北部九州で3回開催した。東京でのテーマは,「欧米の考古学における諸議論の射程」(4)〜(5)等で,本研究における分析の核心となるべき先行研究と理論的背景について検討を重ね,成果集成・報告の準備とした。また,大陸と日本の関係を中心的に表象する九州国立博物館・名護屋城博物館等の展示・出版物について調査・資料収集を行うとともに,九州大学の考古学関係者に協力を求め「専門分野としての考古学の成立・展開と近代」について討議を行った。 以上,3年の計画期間に企図された研究内容は大略完了し,現在,成果発表および研究成果報告書の準備に入っている。ただし,本年度に予定していた公開ワークショップは,研究代表者の所属異動等にともなう諸事情から準備・調整が遅れたため,来年度中の成果報告書刊行と前後して開催することとする。
|
Research Products
(7 results)