2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15320114
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Research Institute for Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
山中 敏史 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 文化遺産部, 遺跡整備研究室長 (90000504)
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Keywords | 官衙 / 掘立柱建物 / 総柱式高床倉庫 / 平面形式 / 柱掘方 / 礎石建物 / 身舎 / 廂 |
Research Abstract |
今年度は、四国地方以西の官衙関係遺跡における建物遺構の資料収集作業を進めるとともに、平均柱間寸法や木割の属性を加え、それに伴いデータベース構造に改良を加え、近畿以東の収集データにも補訂を加えた。また、主要な豪族居宅の建物資料の収集とデータベース化もおこなった。新たに収集作成したデータは、遺跡数で400件、建物基本データで4500件を数える。 このデータベースを活用し、今年度は主に豪族居宅建物と官衙建物との規模や平面形式等々の比較検討をおこなった。その分析の結果、建物規模の点において、郡衙の側柱建物の平均面積が約50m^2であるのに対して居宅では34m^2であること、桁行・梁行間数平均値では、郡衙は4.13×2.227、居宅は3.341×2.160、桁行平均柱間寸法では、郡衙は2.226m、居宅では2.106mというように、規模の差がみられる。また、総柱高床倉庫においては、郡衙では平均平面積が42.2m^2、居宅では16.6m^2で、歴然とした差があることが判明した。そして、建物の柱筋の通り具合等においても、郡衙の場合は明らかに居宅とは建築水準が高いことが数値の上からも明瞭になった。 また、官衙の種類別の建物属性についての統計的分析を試みた結果、郡衙より上級の官衙と官衙関連遺跡との間では、建物規模や柱掘方形状・柱筋の通り具合などの諸点について差が認められ、官衙関連遺跡の中には、狭義の官衙の造営技術によらない民間施設が官衙としての機能を果たしていた場合が多かったことを示すものと考えられた。 また、官衙の礎石建物ついては、関東以西においては、郡レベルでは礎石下基礎地業を伴う例はほとんど見られず、関東以北で顕著な掘込地業の正倉分布のあり方と対照的な様相が明確になった。
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Research Products
(2 results)