Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 帰一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90173484)
城山 英明 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 助教授 (40216205)
中村 民雄 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (90237412)
遠藤 乾 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00281775)
網谷 龍介 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40251433)
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Research Abstract |
本年度は以下の点を主たる課題とし,研究のとりまとめを行った. 第一に,昨年度に立ち上げた共同研究態勢を継続発展させ,引き続き,(1)EUにおける基本権保障問題,(2)ヨーロッパにおける「民主的」統治の問題,(3)加盟国とEUとの間の管轄権配分問題の三つの重要論点を軸に研究を進めた.EU憲法条約が,2度の政府間会議で難航の末,漸く2004年10月の調印に至った.しかし,既にその時点においても,その後の当事国における憲法条約批准過程での,更に大きな困難が予想されていた.果たして,2005年は,EU憲法条約批准の当否を巡る国民投票,特に5月末から6月初めにかけてのフランス,オランダにおける国民投票において,相次いで批准反対論が大差で過半数を占めた.その結果,更に国民投票を予定していた他の大多数の当事国も,国民投票を無期延期することを相次いで表明するという事態となった.憲法条約批准を巡る国民投票の帰趨は,まさに欧州統合における「民主的」統治問題に直接関わる問題であるので,これらの最新動向についても分析を行い,2006年1月には「社會科學研究」57巻2号誌上において特集「欧州統合と民主的統治」として研究成果を公表することができた. 第二に,前年度に引き続き,研究対象領域の文献調査・資料収集を系統的に行うことに努めた.2005年は,憲法条約批准が各国で予定されていたこと,また2004年末にEU憲法条約の正文が確定されたことから,憲法条約の起草過程,草案および最終案の分析等に関し,各国で膨大な関連文献が公刊されたため,これらの文献・資料の調査・収集を系統的に行うとともに,ヨーロッパにおける現地マスコミ・識者の反応についても調査することに努めた.
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