2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15330019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 滋 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80025155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 暁 京都大学, 大学院・法学研究科, 講師 (10362550)
北村 雅史 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90204916)
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Keywords | 公開買付 / 証券取引 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近時の企業組織再編法制の整備を基礎とした企業買収法制の模索、とりわけ関係者の適切な利害調整のあり方の探求にある。本年度は、この目的のもとで、主として企業買収をめぐる法に関する欧米の基礎文献・資料等の収集を行い、得られた情報の整理及び分析・検討を進めた。本年度の動向が注目された欧州における公開買付に関する第13指令案については、2003年12月に欧州議会の承認がなされ、採択・発効への最終過程に入っている。これまでの検討によれば、同指令は欧州における公開買付ルール全体のハーモナイゼーションという観点からは相当程度限定的なものとなることが見込まれる。しかし、本年度に我が国で現われた敵対的な株式公開買付事案及び日本法の現状に関する分析結果に照らすと、公開買付の局面における買収者並びに対象会社の経営陣及び株主の衡平な利害調整をはかる観点から、前記指令における衡平な価格(equitable price)の主への支払に関するルール及び企業買収に対する防衛措置に関するルールの内容及びその形成過程に関してさらなる分析・検討を深めてゆく必要があることが明らかになった。他方、引き続き企業買収に関する米国法及び英国法の分析・検討を進める必要があるが、欧州における上記指令をめぐる議論の分析からは、公開買付関係者の利害調整に関する考え方においては欧州内部でも重要な相違が残されることが明らかになっており、調和とともに相違をも重視し、欧米法の形成要因のさらなる分析を通じて、日本法における関係者の利害調整の考え方を慎重に模索する必要があることが示唆された。
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