2004 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭における都市・農村の死亡率と人口移動に関する国際比較
Project/Area Number |
15330070
|
Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
村越 一哲 駿河台大学, 文化情報学部, 助教授 (80265438)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 修 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40051867)
|
Keywords | 国際研究者交流 / スペイン / フィンランド / 歴史人口学 / 乳児死亡率 / 人口動態 / 歴史統計 / 近代 |
Research Abstract |
本年度の研究成果の第一は、前年度にデジタル化した人口動態統計を用いて行った死産・乳児死亡分析である。妊娠期間別の死産・乳児死亡累計数を出産数で除した数値(累積死産乳児死亡率)が冪法則にしたがうことを見出した。そこから、新生児死亡を早産死亡(280日を標準妊娠期間としたとき、妊娠280日未満の死亡)、妊娠295日までの死亡、妊娠296日以降の死亡に分け、それぞれの死亡率を推計した。そして、10万人以上の都市(市部)とそれ以外の地域(おおまかに郡部)における各死亡率の動きを1900年から1930年まで比較した。その結果、郡部では育児過程で何らかの問題が生じていた可能性があることを明らかにした。この点に関連して、"Stillbirths in Spain and Japan"と題する報告を、英国人口学会年次大会(2004年9月14日、於レスター大学)において海外共同研究者であるDiego Ramiro博士と共に行うことができた。 研究成果の第二は、「農村保健衛生実施調査」の分析である。約80村の調査結果のうち、哺育の仕方、身長、体重、胸囲など身体測定値などのデータを本年度、デジタル化した。それらの身体測定値から乳児の成長曲線を求め、明治中期、昭和初期の代表的な数値と比較した。その結果、明治末から大正初年にかけて、農村では乳汁が乳児の発育に不十分であったと結論した。少ない栄養摂取量のために農村乳児の栄養状態は低く、そのことが乳児死亡率を高い水準に維持させた要因のひとつであったと考えたのである。この結果に関しては、社会経済史学会、第74回全国大会(2005年4月30日、於一橋大学)において、「明治・大正期の乳児死亡・哺育・女性労働」と題して報告する。
|
Research Products
(1 results)