2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15330110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
西澤 晃彦 東洋大学, 社会学部, 教授 (20245658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 祐司 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50237442)
文 貞實 中部学院大学, 人間福祉学部, 助教授 (20301616)
奥山 真知 常磐大学, 人間科学学部, 教授 (60152443)
武田 尚子 武蔵大学, 社会学部・社会学科, 講師 (30339527)
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40302335)
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Keywords | 都市下層 / NPO / 野宿者 / 貧困 / 社会運動 / サービス業 |
Research Abstract |
本年度は、今日における都市下層の社会的位置と制約を明確化しつつ、それへのリアクションとしての「抵抗」「運動」の諸相の把握を試みた。山口恵子は、関東圏の都市下層をめぐる空間構造について、2000年の国勢調査や各都県より収集したデータを用いて地図化し、過去の地図と比較しながら分析を行った。これは、不均衡な貧困の分布パターンを明らかにするとともに、都市下層への社会的制約を空間構造の解読から浮き彫りにするものである。また、西澤は、関東圏周縁部の野宿者の聴き取りデータの分析から、「剥き出しの生」への還元に抵抗する「生の形式化」について論じ、稲葉は、東京の野宿労働者による起業と川崎の移住女性によるNPO活動について調査を行い、「行為」がそのまま「要求項目の実現」に結びつくような都市底辺層の社会運動の検討を試みた。 また、初年度である本年度は、研究の今後の展開をにらんで、都市下層研究の枠組みの中で、これまでおもに調査対象者とされてきた大都市部の男性下層と比較可能な対象を選び、その全体像を把握する試みをスタートさせた。奥山、文、武田の三人は、首都圏に隣接するサービス業特化地域での女性労働力調査を行う予定で、箱根町、熱海市、伊豆長岡市について、予備的な現地調査を行った。具体的には、上記三地域の各市役所、旅館組合、観光協会、職安等およびその他のキーパーソンからの聞き取りを行い、統計資料や関連資料を入手するとともに、文献を整理し、当該地域の基本的な推移と動向について、研究会で中間報告を行った。さらに、今年度の成果をふまえ、次年度の現地調査の基本的枠組みと調査方針、ならびに調査課題を具体的に設定した。 中村は、今日的な都市下層の形成メカニズムを明らかにするために、関係の文献研究を通じて、日本における多重債務問題や信用販売会社の起源など、制度としてのサラ金のしくみを時系列的に把握することに努めた。
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Research Products
(1 results)