2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本及びアジア・太平洋地域における環境問題と環境問題の理論と調査史の総合的研究
Project/Area Number |
15330111
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Research Institution | Fuji Tokoha University |
Principal Investigator |
帆足 養右 富士常葉大学, 環境防災学部, 教授 (70329580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 祐子 富士常葉大学, 環境防災学部, 専任講師 (30329578)
舩橋 晴俊 法政大学, 社会学部, 教授 (30130751)
寺田 良一 明治大学, 文学部, 教授 (00163923)
関 礼子 立教大学, 社会学部, 助教授 (80301018)
藤川 賢 明治学院大学, 社会学部, 助教授 (80308072)
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Keywords | 環境社会学 / 飯島伸子 / 社会調査 / 公害 / 環境問題 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引続いて、1)環境問題史および環境問題の社会調査史の整理、2)アジア・太平洋地域諸国における環境問題の歴史的展開と環境社会学の研究動向の検討、3)わが国における環境社会学の形成・発展の過程の総合的検討、の3つの作業を行った。これらは主として、わが国の環境社会学の先駆者的研究者であった、故飯島伸子氏が遺された公害・環境問題にかかわる社会調査資料の整理分類作業を通じて行い、同時にそれら資料のデータベース作成作業も行った。これは、年表等の形で環境問題およびそれについての調査研究史をまとめる上での基礎的データともなるものである。 本研究では、ダンボール200箱を越える分量の社会調査資料を、まず調査テーマによって分類し、内容や作成主体等によってさらに細かく分けた。調査テーマの数は、国内調査が約100にのぼり、これらの中には、水俣病、薬害スモン、むつ小川原開発等、戦後の主要な公害/開発問題についての調査研究をはじめ、美容師の健康調査、中国、韓国などアジア諸国における先駆的な調査研究など日本の環境社会学史の中でも極めて重要な業績が多く含まれている。本年度は、これら全ての調査資料について、内容および作成主体によって系統的に整理分類した上で本研究グループで構築した分類体系に従って番号を付与し、データ化する作業をすすめ、年度末までに全体の8割程度まで終了した。 この作業を通じて、公害の時代から環境問題の時代にかけて問題の種類や性質が変化してきたことに伴い、環境社会学の調査研究も変容してきていることが浮かび上がりつつある。具体的には、地域社会における加害/被害構造の詳細な研究から、環境行動、環境意識、環境問題の背後にある社会の構造、環境共生のあり方等へという研究テーマの多様化、調査手法の洗練と多様化等があげられる。また、これらの資料を生かしつつ、研究分担者は、それぞれの対象としている環境問題の検討を継続的に行っており、その成果を随時まとめつつある。
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