2006 Fiscal Year Annual Research Report
小・中学校のための福祉教育・研修プログラムの開発とその実践効果に関する研究
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15330121
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中野 いく子 東海大学, 健康科学部, 教授 (40141808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 正樹 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (40287793)
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Keywords | 世代間交流 / 児童と高齢者 / 総合的学習 / 交流プログラムの開発 / プログラムの効果評価 / 児童の高齢者観 / サービス・ラーニング / 高齢者の学校ボランティア |
Research Abstract |
我々が研究・開発した世代間交流プログラム「お年寄りから学ぶ」を、今年度も大磯町立国府小学校5年生全員に1年間を通して実施してもらい、高齢者に対する態度や高齢者観にどのような変化をもたらしたかを測定した。プログラムの内容は、教室での学習(ハンディキャップ体験、ロールプレイ、老い・死の理解等)が12回、施設訪問が4回の計16回である。訪問した施設は、恒道園、あさひの郷、高根台ホームの3箇所である。このプログラムは、(1)異世代との個人的な人間関係を築き、相手を尊重できる、(2)「老い」を偏見なく理解できる、(3)支えあうことの必要性を理解し、自尊心をもつことができる、をねらいとしており、最も重要な特徴は、児童が高齢者と向かい合い、自分の力で擬似的な祖父母と孫の人問関係を築くことにある。そのため交流相手は、同一のお年寄り(パートナー)とした。 効果評価の測定は、1つにはプログラム実施前と実施後に質問紙を用いた調査、2つには毎回の活動終了後に児童自身が記入する「振り返り」ノートにより行った。質問紙調査では、(1)18形容語対に5件法で答えるSD(Semantic Differential)法により情緒的側面を測定する高齢者イメージ・スケール、(2)18項目の文章により知識・認識的側面を測定する高齢者観スケール、(3)7項目の自己評価を行う自分観スケールを用いた。今年度のデータ集計および分析はこれからなので、過去3年間の結果を示しておく。3スケールの平均値の変化をみると(t検定)、3つとも肯定的方向に変化した「大いに効果あり」が2003年、2004年、2005年とも16.2%、SDと高齢者観のどちらかと自分観が肯定的方向に変化した「まあ効果あり」が2003年は38.4%、2004年は39%、2005年は30.6%であった。半数の児童に肯定的な効果を及ぼしていた。「振り返り」では、8割近くが肯定的な変化を記していた。ねらいの1つ目の「人間関係、相手を尊重」に当てはまる記述が4割強、2つ目の「老いの理解」が3割、3つ目の「支えあい、自尊心」が2割弱(複数回答)であった。このプログラムの有効性が実証されたといえる。
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Research Products
(1 results)