2003 Fiscal Year Annual Research Report
現代的貧困・社会的排除と公的扶助政策の国際比較に関する総合的研究
Project/Area Number |
15330122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
阿部 實 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (00105032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
圷 洋一 長崎国際大学, 人間社会学部, 専任講師 (50331054)
後藤 隆 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 助教授 (30205603)
村上 文司 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (40210017)
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Keywords | 現代的貧困 / 社会的排除 / 公的扶助政策 |
Research Abstract |
本年度は初年度にあたる研究期間なので、主に「現代的貧困」及び「社会的排除」に関する研究の理論枠組を構築するため、以下のような研究を行った。(1)「現代的貧困」及び「社会的排除」に関する先行研究の歴史的文脈に関する分析、(2)貧困研究が公的扶助政策に与えた歴史的影響力とその国際的相互作用の分析(具体的には、チャールズ・ブースの貧困調査を起点とするその後の貧困調査研究の歴史的系譜に関する歴史分析)、(3)「現代的貧困」及び「社会的排除」に関する日英米を中心とする関係研究業績リストの作成、(4)公的扶助政策の最新の国際的動向の分析について、その基礎的な整理と研究上の今後の課題について討議した。 とりわけ、「社会的排除」(social exclusion)は、わが国でも欧米でも「失業」・「貧困」・「低所得者問題」・「ホームレス問題」・「精神障害者の社会復帰問題」といった、周辺化されやすく傷つきやすい人々の生活をめぐる問題として把握され理解されているが、社会的排除という視点では、旧来の記述のような課題群や対象理解において、より包括的であるとの仮説について集中的な検討を行った。つまり、社会的排除と言う視点は、リクスやニーズが発生する状況を生みだす広範な要因やそのメカニズムを視野に収めうることが可能であるとの共通理解に達した。 来年度は、この共通理解(作業仮説)に基づき、社会的排除と公的扶助政策の布置連関について、実証的に研究する予定である。
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