2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会的認知の文化的共有性―コミュニケーション分析に基づく実験社会心理学的検討
Project/Area Number |
15330134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
唐沢 穣 神戸大学, 文学部, 助教授 (90261031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 由美 関西大学, 社会学部, 教授 (80213601)
米谷 淳 神戸大学, 大学教育研究センター, 教授 (70157121)
小椋 たみ子 神戸大学, 文学部, 教授 (60031720)
松井 智子 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (20296792)
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Keywords | 認知の共有性 / 社会的ステレオタイプ / コミュニケーション / 要求表現 / 感情表出 / 表情の理解 / 心の理論 |
Research Abstract |
唐沢・遠藤を中心に、社会的ステレオタイプが、コミュニケーションとその結果産出される認知表象に与える影響を調べるため、一連の実験を行った。人物の行動および属性に関する情報が、他者への伝達という文脈の中でどのように変容するかを調べた。結果は、(1)ステレオタイプ的予期が強いほど、これと一致した情報は不一致な情報よりも多数、伝達情報の中に出現すること、(2)ステレオタイプ一致情報は、より一般化が可能な特性形容詞に変容(抽象化)されて伝達されること、(3)伝達の受け手の規模が大きくなるほど抽象化が促進されること、などを明らかにした。 さらに別の実験では、他者への配慮が特に重要となる「要求」におけるコミュニケーションが、要求者の感情状態や、要求者と被要求者の社会的地位関係などに影響を受けることを示した。 一方、米谷を中心に非言語コミュニケーションについても実験的検討を行った。特に、日本人の表情表出の特徴と、その理解の過程を吟味した。そして、表情表出の分析に用いる指標(J-FACT)の開発と、日本人と中国人の比較による妥当性の確認などを進めた。 松井は、情報の共有や確認の過程が、他者の心的状態に関する理解(「心の理論」)の発達と関連することを実験によって示した。他者の意図の推論と理解について、言語学理論と心理学理論を融合した理論的基盤を構築することに成功している。また、小椋とともに実証的研究のための枠組み作りを行った。 この他、社会的カテゴリーの成立基準に関する「しろうと理論」の構造の検討や、合意性の推測における自己投影効果に関する研究などとあわせて、社会的事象について共有された認知・信念が、コミュニケーションを通じて発現し、「理解」として構成されていく過程を明らかにした。
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[Publications] Karasawa, M.: "Projecting group liking and ethnocentrism on in-group members : False consensus effect of attitude strength"Asian Journal of Social Psychology. 6・2. 103-116 (2003)
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[Publications] 米谷 淳: "日本人の表情記述法(J-FACT)による表情研究"信学技報. HCS2003-19(2003-09). 29-32 (2003)
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[Publications] 三浦彩美, 米谷 淳: "日本人の表情認知構造-動作教示方による表情を用いた再検討"信学技報. HCS2003-5(2003-04). 21-26 (2003)