2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会的認知の文化的共有性-コミュニケーション分析に基づく実験社会心理学的検討
Project/Area Number |
15330134
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
唐沢 穣 神戸大学, 文学部, 助教授 (90261031)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米谷 淳 神戸大学, 大学教育センター, 教授 (70157121)
遠藤 由美 関西大学, 社会学部, 教授 (80213601)
松井 智子 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (20296792)
|
Keywords | コミュニケーション / 認知と文化 / 社会的カテゴリー / ステレオタイプ / 自己概念 / 感情の認知 / 意図の理解 / しろうと理論 |
Research Abstract |
1.連鎖再生状況における、ステレオタイプに関連した情報の伝達過程を実験によって検討した。結果は、ステレオタイプに一致する情報が不一致情報よりも数多く伝達されること、またその伝達には、行為者の特性に関する推論が容易になるような抽象性の高い言語表現が用いられることを示した。さらにこの効果は、外集団についてより顕著であるとともに、他者に伝達するという相互作用目標が導入された条件の下で増大することが示された。成果は国内外の学会において報告された。 2.社会的カテゴリー表象の基盤として文化的に共有されたしろうと理論の一種である、「心理的本質主義」(psychological essentialism)の内容を実証的に吟味した。社会的カテゴリーを自然カテゴリーおよび人工物カテゴリーと比較することにより、その相対的位置づけを明らかにした。また顕在的指標(質問紙評定)と潜在的指標(反応時間測度を利用した非意識的過程の測定)を適用して本質主義的信念の暗黙的性質を明らかにした。成果は国内外の学会や講演において公表されている。 3.商品に関する情報の伝達について実験を行なった。コミュニケーションの送り手は受け手に付与された役割を考慮して伝達内容を変化させること、さらに自身の伝達内容に沿った方向へと判断や記憶が変容することが明らかになった。 4.他者の意図の理解に関する発達心理学的実験を行い、終助詞の用法を手がかりとした意図理解が早期発達段階において形成されることを明らかにした。国際的学会誌において成果の公表を行っている。 5.感情の表出と理解の過程に関する測定方法の精緻化を行ない、成果を国際学会において発表した。 6.集団間の地位関係が集団評価に与える影響の共有過程や、自伝的記憶における共有的知識の影響などに関する昨年度以来の研究成果を国際学術雑誌等において公刊した。
|