2004 Fiscal Year Annual Research Report
幼児教育ゲームへの接触が子どものコミュニケーション能力の発達に及ぼす影響
Project/Area Number |
15330139
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (70017630)
|
Keywords | 形成評価実験 / 絵本の読み聞かせ / 幼児教育ソフト / 推理能力 / 熟慮性(集中力) / 母子コミュニケーションスタイル / ゲーム使用の短期縦断追跡 / しつけスタイル |
Research Abstract |
(1)教育ソフトの形成評価実験; 目的;ゲーム経験と絵本の読み聞かせ経験の効果を形成的に評価する。教育用ゲームに従事する過程で起こる大人と子どもの相互交渉と絵本(絵本と仕掛け絵本の2種)の読み聞かせ経験中の大人と子どもの相互作用の内容を析出する。実験計画;年齢2(4歳児・5歳児)×文化財3(ゲーム・絵本・仕掛け絵本)の2要因計画。手続き;生活時間調査に基づき抽出した絵本やゲームへの接触頻度を釣り合わせた4,5歳児各60名、計120名を対象にして、(1)絵本の読み聞かせる、(2)仕掛けで遊びながら絵本を読み聞かせる、(3)物語世界をゲームでゴールまで体験するという3つの過程でゲームの教育目標(推理能力と熟慮性の向上)が達成されたかどうかを事前・事後調査で測定した。さらに3つの場面での子どものパフォーマンスを測定するとともに、大人とのコミュニケーションの様態をビデオで収録した。結果;教育目標の達成度;推理能力や集中力は、絵本群・仕掛け絵本群がゲーム群に比べて優位に向上した。鮮明な輝度の高い映像刺激に曝されることにより、30分のゲーム終了後は疲労が出て推理能力や集中力がかえって減衰した。しかも、映像の再認記憶の成績も優位に低かった。また物語内容の理解や記憶の成績については絵本群と仕掛け群はゲーム群よりも優位に成績が高く、ゲーム群は物語の内容を殆ど記憶していないことが判明した。総じて、幼児期のゲーム使用経験の効果は教育目標が達成されないだけでなく、映像記憶、物語内容の理解などについても否定的であった。 (2)教育ソフトの繰り返し使用経験の短期縦断追跡研究; 目的;家庭でのゲームへの繰り返し接触経験と絵本の読み聞かせ経験の効果を比較するため、2カ月間の短期縦断追跡を行った。手続き;3,4歳児のゲーム使用中の母子コミュニケーションの様態をビデオで収録して分析する。結果;ビデオ資料から相互作用のトランスクリプションを作成した。発話分析中であるが、ビデオ使用中は操作に関する会話が多く、絵本場面では母親の読みに集中している。また強制型しつけスタイルの母親は知識を問うような発話が多くみられる。
|
Research Products
(7 results)