2003 Fiscal Year Annual Research Report
書字言語の遅れた子のための神経心理学的言語発達診断法および言語教育法の開発の試み
Project/Area Number |
15330146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
神 常雄 岩手大学, 教育学部, 助教授 (30113856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 文聡 岩手大学, 教育学部, 教授 (10113854)
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Keywords | 神経心理学 / 運動発達検査 / リテラシー / 作文指導 / 対話 / 眼球運動 |
Research Abstract |
今年度の研究成果を、当初掲げていた研究計画との関連で以下に述べる。 1.研究計画1)と2):二種の下位検査(両手の交互開閉テスト・三つの動作の連続的片手ポーズ変換テスト)からなる神経心理学的運動発達検査を、普通小学校児童1・2年生計46人に実施して結果を分析した。その結果、健常児で運動テストは概ね遂行できたが、数%の割合で各学年にうまく遂行できない児童が見られ、国語の成績において若干の関連性が窺われた。今後、各種障害をもつ児童に実施してその診断テストとしての可能性を探る。 2.研究計画1)と4):文章の理解や産出あるいは算数問題の解決のためには、文の構成や意味構造の理解とその産出のための特別な能力(リテラシー)が必要である。その指導の可能性を探るため、小学4年生3名に対して教師との対話活動を媒介にした作文指導を実施し、それが子どもの作文産出過程にどのような影響を及ぼすかを検討した。その結果、対話による指導が子どもの文章の構造化を促進することがわかった。この方法論は、研究計画4)の教育方法プログラムの開発に役立つものである。 3.研究計画3)と4):さまざまな文章の読みの活動の学習水準を診断するために、アイカメラにより読みの活動中の眼球運動を測定し、その評価の可能性を検討した。対象は大学生10名で、異なる難易度の文章によって読みの活動のパターンが客観的に評価できること、読みの学習効果実験による事前事後テストの比較から読みの習熟にしたがって眼球運動に特有のパターが見られることなどが明らかになり、児童生徒の読み活動の客観的指標として活用できる見通しがついた。 以上の成果を踏まえ、16年度には研究計画の2)各種検査の確立と標準化、と4)特異な事例の抽出と教育的働きかけによる教育プログラムの作成が主な研究課題となる。
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