2005 Fiscal Year Annual Research Report
遅延非見本合わせ課題を用いたラットの顕在記憶の研究:海馬グルタミン酸受容体の役割
Project/Area Number |
15330153
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
一谷 幸男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80176289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川辺 光一 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 講師 (30336797)
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Keywords | 記憶・学習 / 遅延非見本合わせ / グルタミン酸受容体 / 海馬 / ラット |
Research Abstract |
遅延非見本合わせ課題は,動物(ヒトをふくむ)を対照にした記憶課題の1つで,その基本的パラダイムはまず刺激Aを提示し(見本期),この刺激が消えた後一定の遅延時間(遅延期)の後に刺激AとBを同時に提示する(選択期).動物が求められることは,このうち見本期に提示されなかった刺激(刺激B)を選ぶことであり,この選択に対して強化が与えられる.遅延非見本合わせ課題は,その遂行障害がヒトの健忘症,すなわち顕在記憶の障害を反映するものとして,主にサルの脳損傷研究で頻繁に用いられてきた.本研究では,ラットの顕在記憶を測定するために,オペラント箱で遅延非見本合わせ課題を訓練・測定する手続きの開発と自動化を行った.本年度は主に,オペラント箱で3つの刺激提示窓とそれぞれの窓の下にレバーが設置された3レバー方式の装置を用いた.どの試行でも同じ刺激対を用いる場合と,試行毎に次々と新しい刺激対が現れる場合を比較した.その結果,ラットで遅延非見本合わせを安定して遂行させることは,遅延時間の長短にかかわらず非常に困難であった.どうしてオペラント箱を用いるとこの課題がラットにとって難しい課題となるのかについて考察したところ,見本刺激や選択刺激を短時間のうちに十分に見る(判別する)ことの困難さ,選択期に2つの刺激を見比べることの困難さ,またそれと関連して左右どちらかの刺激にラットが固執反応を示す傾向があることが考えられた.刺激を十分に見させるために,レバーを押したまま保持する訓練,あるいは刺激提示とは反対側の壁にもレバーを取り付け,これを押さないと次の過程や試行に進まない条件の導入などが,今後の検討課題として挙げられる.
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Research Products
(2 results)