2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15330156
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
箱田 裕司 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50117214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神尾 陽子 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (00252445)
安藤 満代 聖マリア学院短期大学, 看護学科, 教授 (10284457)
川畑 秀明 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (70347079)
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (30251614)
橋彌 和秀 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (20324593)
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Keywords | 領域固有性 / 領域一般性 / 生物画像 / 自閉症 / 認知の障害 / 脳内機序 / 心の理論 / 非対称性 |
Research Abstract |
「領域固有性・一般性」は、認知心理学における最近注目されている問題の一つである。ある刺激の認知や課題の遂行が、それらに特化したメカニズムに基づいてなされているのか、それとも共通のメカニズムに基づいているのかという問題である。この問題は、視覚認知、認知発達、神経心理学など様々な領域において議論されているが、未解決の問題である。本年度の研究ではこの問題について、次の角度からアプローチを試みることを目的とした。(1)生物画像の認知に特化したメカニズムの存在を示すような証拠があるのかどうか明らかにするために、生物画像と非生物画像の認知を比較する。(2)自閉症に見られる認知の障害が領域固有的であるのかどうかを検討する。(3)領域固有性・一般性に関する脳内機序について検討する。すなわち、心理実験においてある刺激・課題の処理が領域固有性を示すとすれば、それを司る脳内機序も異なるはずであり、この点について明らかにする。(4)領域固有性・一般性に関する発達的傾向を明らかにする。研究の結果、(1)図形の変化の認知における非対称性を検討したところ、猫画像を除くほとんど全ての生物画像において非生物画像と同様に追加変化に対して敏感であることが明らかになった。(2)追加変化の認知が削除よりも優れているという傾向は大人のみならず幼児においても認められた。(3)「自閉症は心の理論の欠損した病態である」という言わば領域固有性に立脚したモデルでは説明できないという証拠が認められた。ただ、脳内機序に関する実験はf-MRIの準備が整わなかったため、予備的研究に留まった。また、図形認知に見られる非対称性が認められるか否かに、変化に対して違和感が経験されるかどうかが関係することが示唆された。来年度の研究においてこのことをさらに明らかにしたい。
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Research Products
(7 results)