2004 Fiscal Year Annual Research Report
進出色・後退色研究の新たな展開:軸上色収差説を修正して復活させる
Project/Area Number |
15330159
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北岡 明佳 立命館大学, 文学部, 助教授 (70234234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗木 一郎 NTTコミュニケーション基礎科学研究所, 人間情報研究部, 研究員 (80282838)
蘆田 宏 京都大学, 文学研究科, 助教授 (20293847)
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Keywords | 色立体視 / 色収差 / 両眼立体視 / 色の錯視 / 進出色・後退色 / 個人差 / 等輝度 / 瞳孔 |
Research Abstract |
色立体視における我々の修正軸上色収差説を証明するための研究の一環として、視距離と色の進出・後退の関係を調べた(山内、卒業論文2004)。その結果、まず、背景が黒の時、赤が手前に見える標準的な見えをした被験者が20人中16名(80%)、青が手前に見える非標準的な見え方をした被験者が20名中4名であった(20%)。後者のような見え方をする人がいることは時々報告されてきたが、軸外収差説には不利なためか(軸外色収差説では、視軸と光学軸の不一致を色立体視の論拠とするため、赤が手前に見える被験者の見えしか説明できない)、注目されてこなかった。しかし、青が手前に見える非標準的な見え方をする被験者は決して無視できるほどの少数ではないことがわかった。この知見は、軸上色収差説の説明には矛盾しない。軸上色収差説では、各スペクトル(色)が網膜上で広がった重心をその色の位置とするというだけなので、なぜ青の重心が耳側に寄るのかという説明としては、眼球の各部位のスペクトルごとの透過率やスタイルズ・クロフォード効果を仮定すればよいだけだからである。 視距離と錯視量(進出の度合い)の関係は単純な比例関係であった。すなわち、赤が手前に見える被験者でも、青が手前に見える被験者でも、視距離が増すと錯視量は増大した。今回の研究では図形の大きさは同じままなので、網膜像は視距離が大きいほど小さくなるのであるが、別の予備的観察では、対象が小さいほど錯視量が大きいということは認められなかった。したがって、視距離と関係する水晶体の厚さ(近距離では水晶体が厚くなる)か瞳孔の大きさ(近距離では瞳孔が縮小する)あるいは両方がこの現象に寄与すると考えられた。 軸上色収差説としては、瞳孔の大きさ説が都合が良い。瞳孔が小さくなると、網膜上に広がるスペクトルの面積が狭くなるので、重心の位置が各スペクトルで揃ってしまうと考えられるからである。また、これは暗順応した眼(瞳孔が大きい)の方が錯視量が大きいという観察知見とも合う。現在、この瞳孔説を検証するための実験を計画中である。
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Research Products
(6 results)