2003 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの中等教育改革に関する調査研究-総合制学校と多様化政策-
Project/Area Number |
15330180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
佐々木 毅 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 総括研究官 (90099804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿内 真紀 鳥取大学, 教育地域科学部, 講師 (70324994)
柳田 雅明 青山学院大学, 文学部, 助教授 (20260523)
大田 直子 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (40211792)
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Keywords | イギリス / 中等教育 / 総合制学校 / スペシャリスト・スクール / シティ・アカデミー / 16歳以後の教育 / Aレベル試験 / カリキュラム |
Research Abstract |
1997年以来イギリスの政権を担当している労働党の教育政策が、従来のように中等教育における総合制学校を推進するのではなく、スペシャリスト・スクールやシティ・アカデミーに代表される新しい種類の中等学校の設置を通じて学校の多様化を図っていることに注目して、このような政策の理論的な背景、実際の中等教育の組織と教育に及ぼされる影響について研究を進めた。特に、新しい種類の中等学校をめぐる資料の収集・分析を行ない、また学校の組織的な改編とともに進行しているカリキュラムおよび資格・試験制度の改革についても調査を進めた。さらに研究分担者2人が学校改革、資格・試験制度改革の現状について調査のためにイギリスに出張した。 収集した資料からは、スペシャリスト・スクールの量的な増大、特にその数が全中等学校の過半数に達したことと、指定の条件が緩和される傾向にあることが判明し、またシティー・アカデミーについてもその設置が進んでいることが明らかになった。このような改革の背景には多様化を通じて個々の生徒の能力・適性に応じた教育の提供が意図されている。またこれと並行して試験・資格制度の改革が進行しており、ここでは従来履修の幅が狭かった義務教育修了者(16歳以後)の教育の幅を拡大する努力が続けられていることが明らかになった。以上は、本年度に発行した中間報告書の内容となっている。 このような資格・試験制度の改革がカリキュラムの変化をもたらすことは明かであるが、中等教育における多様化とどのように関連するのか、また中等教育機関の多様化が多様な機関の間での階層・序列の発生を生み出さないのかが、今後、解明すべき課題である。
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