2005 Fiscal Year Annual Research Report
中学生の英語学力調査:英語の文構造把握力の観点から
Project/Area Number |
15330189
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高島 英幸 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (40128434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 美保子 星城大学, 経営学部, 講師 (10331638)
根岸 雅史 東京外国語大学, 大学院地域文化研究科, 教授 (50189362)
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Keywords | 中学校英語 / 英語の語順の習得 / 後置修飾 / 縦断的研究 / 横断的研究 / 3年間の英語習得 |
Research Abstract |
12の基本的な英文構造の学習を、同一学習者を対象に3年間追跡する本調査は、2005年度(平成17年)が2年目である。来年度で完結することになる。したがって、本年度の結果からは、縦断的に見れば、2年間の学習程度(昨年度の1年生が本年度は2年生)が明らかになる。同時に、一部の学校では、本年度の3学年全体に対しても調査をおこなっているので、横断的には「3年間の疑似発達」を見ることが可能である。2005年度は、2005年7月(第1学年のみ9月)と2006年2月に調査を実施したが、これまで、2004年度の2回の調査を含め、計3回の分析が終了している。現在、4回目の2月のデータを分析中である。今回は、学校別に問題A、問題B共に、正答率が80%を超えているかどうかで、習得・未習の区別とした。 調査結果で顕著な点は、学習者は1年半かかっても、問題A・B共通に、「be動詞の肯定文・疑問文」の構造は習得できないことであった。問題Aは単語を並べ替えさせるもので、問題Bは4通りの語順で与えられている文より一文を選択する問題であるため容易となり、正答率は問題Bの方が門だAに比べてよくなる傾向がある。具体的には、肯定文"This book is about Australia."疑問文"Is this book about Japan?"の正答率は、I中学校(約200名)では、肯定文の問題Aで、1.1%から34.8%に、問題Bで、12.8&から57.8%に、否定文の問題Aで、8.0%から44.9%に、問題Bで,12.8%から69.5%の正答率の推移となっている。 理由としては、about Australiaという前置詞句の指導が不十分であり、This is ….という型の指導が授業中は圧倒的に多く、This bookという表現が充分に指導されていないために、習得率がきわめて低くなったと考えられる。学習者の誤答も、*This is book about Australia.が圧倒的であった。同時に、冠詞の指導にも問題があることが浮き彫りにされた。 なお、本研究は12の文法事項が選ばれているが、真に3年間の継続研究で発達を見ることができるのは、6文法項目であり、2学年から学習されるために追加された4文法項目は2年間、3年生から追加された2つの文法項目は1年間のみが観察されることになる。最後に、残念なことに、担当教員の転勤と学校行事等により東京都の2校が調査継続不可能となり、高知市3校といわき市1校が最終年度の対象校となり、生徒数が半減する状況に陥った。新たに発達の調査を実施する場合の対象校としては、学年の継続性と3年間継続して調査が実施可能である中・高等学校一貫校を選定することが望ましいことを付記する。
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