2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340018
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
辻 元 上智大学, 理工学部, 教授 (30172000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 健一 上智大学, 理工学部, 教授 (20053712)
加藤 昌英 上智大学, 理工学部, 教授 (90062679)
二木 昭人 東京工業大学, 理学部, 教授 (90143247)
石井 志保子 東京工業大学, 理学部, 教授 (60202933)
藤田 隆夫 東京工業大学, 理学部, 教授 (40092324)
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Keywords | ベルグマン核 / 多重標準系 / タイヒミュラー空間 / ベクトル束 / 変形 / ケーラー多様体 / ケーラーアインシュタイン計量 |
Research Abstract |
2005年度得られた結果は、以下の通り。コンパクトケーラー多様体の滑らかな族に対する、特異計量に関して半正値性をもつ直線束の随伴直線束の変形が、底空間の上のベクトル束として、L^2計量に関して中野正値性を持つことを証明した。さらに、それを応用して、多重標準形の変形に関して、解析的ザリスキ分解の族を構成し、これを使って、多重標準系の変形が、底空間上のベクトル束として中野正値となることを証明した。これは、藤田-川又による多重標準系の変形の代数的半正値性のより強い形である。この定理の直接的応用として、タイヒミュラー空間のヴェイユーペーターソン計量の曲率が、強い意味で負である(strongly negative curvature)であることが、計算に依らず、論理的に、証明されるのは興味深い。これらの結果はプレプリント Semipositivity of the direct image of pluricanonical systems, math.CV/051132 Strong negativity of the curvature of the Teichmuller spaces にまとめた。また、ベルグマン核のイテレーションの研究から、標準束がアンプルな多様体にかんするケーラーアインシュタイン計量の、代数的な構成法を得た。これは現在論文を執筆中である。 これは、代数多様体の安定性と、定スカラー曲率の存在の同値性予想の、特別な場合の解決になっており、今後、一般の偏極に対して、同様の研究が進展することが期待される。さらには、ファノ多様体上のケーラーアインシュタイン計量の存在に関する、カラビ予想の解決にも繋がることも期待できる。 なお、4年計画課題の3年目であることから前半過去2年の成果を後半の年度へと発展させていく過程にある本年は、遂行上で様々な成果発展が見られ、研究代表者ならびに研究分担者の研究発表・研究打合せ等で当初の旅費使用予定額より多く経費が必要とされたが、研究計画に大きな変更はなく、消耗品等の購入経費を節約することで所定額で本年度の研究を実施したことを申し添える。
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Research Products
(4 results)