Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 郁二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70361764)
石川 昌治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (10361784)
北野 晃朗 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (90272658)
牛島 顕 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (50323803)
遠藤 久顕 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20323777)
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Research Abstract |
本年度は,結び目の量子不変量の漸近挙動の研究を中心に行なった. まず,トーラス結び目(3次元空間の中に標準的に埋め込まれたトーラス上にある結び目の族)の色付きJones多項式の漸近挙動を調べた.具体的には,リー環Sl(2,C)のN次元表現に対応した色付きJones多項式のパラメータをexp(a/N)とおいたとき,aを固定して,整数Nを無限に大きくしたときの漸近挙動を調べた.a=2πiのときは,体積予想との関係から,多項式のオーダーで発散することが知られている.ところが,2πiの近傍では全く違った挙動をすることがわかった.つまり,2πiの近傍でaの実部の正負に従い指数的に発散したり収束したりする.特に,収束するときは,結び目の古典的不変量としてよく知られているAlexander多項式にaを代入した値が極限になる. さらに,8の字結び目についてはaが0の近傍のときの漸近挙動を調べた.これまでに,横田佳之との共同研究において,aが1の近傍のときは指数的の増大し,その増大度が8の字結び目に沿ったDehn手術によって得られる3次元多様体の体積とChern-Simons不変量と関係することがわかっていた.今回の研究で,aが0の近傍のときは,色付きJones多項式は収束し,その極限値はAlexander多項式にaを代入した値になることがわかった.これはトーラス結び目の場合と類似の結果であり,一般の結び目についても同様のことが成り立つことを示唆している. 上述の結果は,体積予想(結び目の色付きJones多項式のa=2πiのときの漸近挙動は結び目の体積を決定するである)とは,全く対照的な現象であり,今後の研究への大きな指針となる.
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