2004 Fiscal Year Annual Research Report
乗数イデアル層の複素幾何学における基礎付けとその応用
Project/Area Number |
15340026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 茂晴 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20284333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平地 健吾 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (60218790)
高木 寛道 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (30322150)
佐藤 栄一 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10112278)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80116102)
辻 元 上智大学, 理工学部, 教授 (30172000)
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Keywords | 多重標準形式 / 基本群 / 乗数デイアル層 / 特異エルミート計量 |
Research Abstract |
基本群が無限群であるような一般型代数多様体上の自明でない正則多重標準形式の存在についての研究を行った.Xを射影的代数多様体とする.このときの基本群の大きさによってXは以下のように分解することが知られている.ある代数多様体Sと写像f:X→Sが存在して,fの一般ファイバーの基本群はXの基本群の中で有限となり,Sはfがこのような性質を持つものの中で次元が最小となる.このことは基本群が無限群であれば,上の分解を用いて,次元について帰納的に構造を研究できる可能性があることを意味する.これについて次のような定式化がKollar氏により提出された. 予想.Lをbigな直線束とする.H^0(F,K_F+L|_F)≠0ならばH^0(X,K_X+L)≠0であろう.ここでFはf:X→Sの一般ファイバー,K_Xは多様体の標準束をあらわす. 研究代表者は1998〜1999年頃にLがnef-bigである場合にこの予想を肯定的に解決した.これにより上の予想はほぼ解決したようにも思えた訳であるが,最も基本的で重要な場合,K_XがbigでL=mK_X(m【greater than or equal】1)となっている場合,が未解決として残った.本年度の研究では,この基本的な場合を解決した. 定理.Xを一般型代数多様体,Fをf:X→Sの一般ファイバーとする.このときFも一般型となり,各m【greater than or equal】2に対してH^0(F,mK_F)≠0⇔H^0(X,mK_X)≠0となる. m=1の場合は上のような定理は成立しないことが70年代の例から分かっている.さらに先に述べた予想は標準束K_X以外の一般のbig直線束Lに対しては成立しない例があることも示した.これらにより先に述べた予想を完全に解決することができた.
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Research Products
(5 results)