2004 Fiscal Year Annual Research Report
大規模相互作用系における相境界の揺らぎの確率論的研究
Project/Area Number |
15340032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樋口 保成 神戸大学, 理学部, 教授 (60112075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 克司 神戸大学, 理学部, 教授 (60218956)
足立 匡義 神戸大学, 理学部, 助教授 (30281158)
渡辺 清 神戸大学, 理学部, 助教授 (60091245)
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40240303)
村井 浄信 岡山大学, 大学院・文化科学研究科, 助手 (00294447)
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Keywords | 条件つき極限定理 / 相境界 / 相の共存 / 自由エネルギーの解析性 / スピン系 / Pirogov-Sinaiの定理 / Dobrushin-Hrynivの定理 |
Research Abstract |
本研究では、前年度の成果である、2次元Widom-Rowlinsonモデルにおける相境界の挙動に関する条件つき極限定理であるDobrushin-Hriniv型極限定理について、できるだけ一般の形で定式化を行ない、この種の極限定理が相境界が現れる2次元模型に共通する一般的な原理であることを証明することを目標に据えた研究を行なった。 この様な問題を考える際に最も理想的な枠組がPirogov-Sinaiの相共存に関する一般的な定理が成り立つクラスである。このクラスのモデルについて、相境界の挙動に関する研究を行ない次のようなクラスについてDoburushin-Hrynivの定理が成り立つための最初の段階であるheight free energyの解析性を証明した。 1)有限個の状態を持つZ^2上のスピン系 2)相互作用はfinite range,平行移動で不変 3)ground statesは平行移動で不変、 4)相互作用はground statesをあらわすスピン値の入れ換えに関して不変 5)ground statesと違う配置の点の個数に比例したエネルギーがかかる。(Peierlsの条件を強くしたもの) 4)の条件は強い対称性を仮定しているので、もとのPirogov-Sinaiの理論から見ると不満の残る結果である。また、これらの議論はすべてパラメータの値が大きく制限される形でしか成功していない。これに対して、Bodeneau, Ioffeなどはパラメータに制限のない理論を展開して中心極限定理を得ており、注目すべき結果を上げている。
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