2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模相互作用系における相境界の揺らぎの確率論的研究
Project/Area Number |
15340032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樋口 保成 神戸大学, 理学部, 教授 (60112075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 克司 神戸大学, 理学部, 教授 (60218956)
足立 匡義 神戸大学, 理学部, 助教授 (30281158)
渡辺 清 神戸大学, 理学部, 助教授 (60091245)
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40240303)
村井 浄信 岡山大学, 大学院・文化科学研究科, 助手 (00294447)
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Keywords | 相境界 / パーコレーション / 相転移 / シェルピンスキーカーペット格子 / 鋭い相転移 |
Research Abstract |
本年度は相境界の揺らぎについての研究の直接的な進展はあまりなかった。二つの問題について研究を行ったが、満足の行く結果は得られていない。一つはPirogov-Sinai型モデルの相境界の揺らぎの研究で、一般論を作ろうとしているが、一箇所どうしても具体的なモデルの評価を使う所が解決できないでいる。もう一つの問題はWidom-Rowlinsonモデルの相構造の決定問題だが、これも新しい成果はなかった。 平行して研究しているパーコレーションの問題について進展があった。シェルピンスキーカーペット格子上のパーコレーション問題はこれまで、臨界確率が自明でないことと、十分パラメータが大きいときの無限クラスターの一意性が知られているだけであったが、共同研究に招聘したWu氏(首都師範大学、北京)との研究で無限クラスターは存在すれば唯一つであることを証明した。これを証明する際に、通常の2次元正方格子ではRusso, Seymour, Welshの議論によりほぼ自明にわかる、「全平面での臨界確率と第一象限での臨界確率は一致する」という命題が自明でないことを発見した。 さらに、その後の研究により、全平面での臨界確率と第一象限での臨界確率が一致することまで証明できており、現在最終的な結果「相転移は鋭い相転移である」こと、つまり、臨界確率より下では2点がオープンなパスでつながる確率(連結性関数)が、距離に関して指数的に減少することを証明するべく研究を続けている。
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Research Products
(1 results)