2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340053
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加須栄 篤 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (40152657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 慎太郎 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (90030783)
高信 敏 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (40197124)
牛島 顕 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (50323803)
中川 泰宏 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (90250662)
久村 裕憲 静岡大学, 理学部, 助教授 (30283336)
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Keywords | ディリクレ空間 / スペクトル収束 / 核関数 / エネルギー形式 / リーマン距離 / ネットワーク / 合成抵抗 |
Research Abstract |
局所有限無限ネットワークは、有限なサブネットワークの極限と理解できる。この視点から、無限ネットワーク上の有限なエネルギーを持つ関数のなす空間、とくにそのような調和関数の空間について考察した。これらの空間は、Roydenコンパクト化によって表現されるが、今年度の研究では次のような結果を導いた。 1.有効抵抗が有界な場合、適当な有限測度を導入し、ネットワークのデータとその測度から決まるLaplace作用素の固有関数からなる完全系によって、エネルギー有限な関数をフーリエ展開し、無限遠方での挙動を把握する。具体的には、自乗可積分な数列からなる標準的ヒルベルト空間に固有関数を用いてグラフを埋め込み、その閉包を取ることによってRoydenコンパクト化が得られることを示す。Roydenコンパクト化は一般的な抽象的枠組みで構成されるのもであるが、スペクトル埋め込みの方法によって、より具体的な実現が可能となった。とくにコンパクト化が距離付け可能であることも従う。固有関数は無限遠方では近似的に調和関数であることが本質的である。 2.単純な抵抗を持つ場合、すなわち無限グラフを考察し、そのRoyden境界は擬等長不変であることを証明する。実際、擬等長写像は、Royden境界まで拡張され、それは同相写像となるのである。単純な抵抗を持つ場合、擬等長性は関数のエネルギーの同値性そのものであり、きわめて自然な帰結である。 3.いわゆる有界な幾何をもつリーマン多様体のなす擬等長類を考え、ネット近似の視点から、リーマン多様体と擬等長な単純ネットワークとの比較を実行し、有限なエネルギーを持つ調和関数の空間は本質的に同一視でき、結果としてネットワークのRoyden境界が多様体上の有限なエネルギーを持つ調和関数を表現できることを証明する。有界な幾何をもつリーマン多様体として、コンパクトリーマン多様体の被覆空間が重要である。被覆を通して、コンパクトリーマン多様体の極限となるものの研究に関連している。
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Research Products
(5 results)