2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 真 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60144606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 秀夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10291452)
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Keywords | 強い相互作用 / QCD / カイラル対称性 / クォーク / グルーオン / 格子QCD / バリオン / ハドロン |
Research Abstract |
強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)は低温・低密度ではカラーが閉じ込められ、カイラル対称性が自発的に破れた秩序相にあるが、温度や密度を高くすると,カラーが開放され、カイラル対称性が回復する相転移を起こすと信じられている。このような相転移の性質を明らかにするために、いくつかの非摂動論的QCDの手法を用いた研究を行った。 主な成果は1.格子QCDによるクォーク・グルーオン混合凝縮の有限温度計算 クォーク・グルーオン混合凝縮の温度変化を計算し、カイラル対称性の回復がクォーク凝縮同様に現れることを確認し、その温度依存性がクォーク凝縮と強く相関していることを発見した。 2.クォーク質量関数の格子QCDデータを用いた、シュヴィンガー・ダイソン(SD)方程式の積分核の研究 格子QCDのクォーク伝播関数解を再現するSD方程式の積分核と、その物理的意味を与えた。また、有限温度で同方程式を解き、カイラル対称性の回復の現れ方を考察した。 3.QCD和則によるメソンとバリオンの結合定数の評価 CD和則によって、SU(3)バリオン8重項と擬スカラー中間子の結合定数を評価した。SU(3)極限では、F/D比がSU(6)から予想される値と無矛盾で、πの結合ではSU(3)の破れの効果が小さいことを示した。 4.QCD和則によるペンタクォークバリオンの質量とパリティの決定 最近発見された、ペンタクォークバリオンの質量とパリティをQCD和則により決定した。5クォーク状態としてはパリティが負であることを示した。質量はほぼ実験値を再現する。 5.梯子近似QCDを用いたスカラー中間子に対するUA(1)対称性の破れの効果の研究 梯子近似のベーテ・サルピータ方程式を用いて、SU(3)9重項の擬スカラーおよびスカラー中間子の質量を計算し、その組み合わせがUA(1)対称性の破れを強く反映していることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Doi, N.Ishii, M.Oka, H.Suganuma: "The quark gluon mixed condensate g (q sigma_m n_G^m n^q) in SU(3)_c_quenched lattice QCD"Physical Review. D67. 054504 (2003)
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[Publications] K.Sasaki, T.Inoue, M.Oka: "The Lambda to YN Weak Transition in Double-Lambda Hypernuclei"Nuclear Physics. A726. 349-355 (2003)
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[Publications] H.Kim, S.H.Lee, M.Oka: "Proper construction of the continuum in light cone QCD sum rules"Progress of Theoretical Physics. 109. 371-381 (2003)
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[Publications] T.Nasu, M.Oka, S.Takeuchi: "A quark model analysis of the charge symmetry breaking in nuclear force"Physical Review. C68. 024006 (2003)
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[Publications] K.Naito, M.Oka, M.Takizawa, T.Umekawa: "U_A_(1) breaking effects on the light scalar meson spectrum"Progress of Theoretical Physics. 109. 969-980 (2003)
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[Publications] H.Kim, M.Oka: "Update on pion weak decay constants in nuclear matter"Nuclear Physics. A720. 368-381 (2003)