2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340072
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 真 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60144606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 秀夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10291452)
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Keywords | 強い相互作用 / 量子色力学 / カイラル対称性 / 格子QCD / クォーク / グルーオン / ハドロン / バリオン |
Research Abstract |
量子色力学(QCD)は低温・低密度ではカラーが閉じ込められ、カイラル対称性が自発的に破れた秩序相にあるが、温度や密度を高いと,カラーが開放されカイラル対称性が回復する相へと相転移を起こす。非摂動論的QCDの手法を用いてこの相転移の性質を明らかにするのがこの研究の目的である。今年度は、エキゾティックハドロンの構造と生成反応、実験的に決まっていない量子数の予言、有限密度クォーク物質の相構造の研究を行った。 主な成果を挙げると 1.格子QCDによるスピン3/2のペンタクォーク状態のスペクトルの研究 格子QCDを用いて、J=3/2の5クォーク状態の数値シミュレーションを行い、ペンタクォーク状態の質量とパリティを研究した。J=3/2の負パリティ状態は崩壊幅が小さいことを説明するのに有効である。しかし、クェンチ近似の格子QCDでは、この状態は5クォークとしてはあまり低い質量を持たないことが明らかになった。 2.QCD和則によるスピン3/2ペンタクォークのスペクトルの研究 QCD和則を用いた解析では、スピン3/2の負パリティ状態は2GeV以下の質量で存在しうるという結論がでている。しかし、このQCD和則では、状態を作る演算子の複数の取り方で答えが一致しないため、どの演算子が最もペンタクォークの生成に有効であるかという解析を行った。その結果スピン3/2のペンタクォークがありうるという当初の結果を確認した。 3.インスタントン真空描像による有限密度クォーク物質の相図の研究 この研究では、インスタントン真空描像を用いて、有限密度クォーク物質の相転移のダイナミクスを調べ、カイラル対称性が破れかつ対凝縮が起こって超伝導になっている相が有意に存在することを示した。また、電荷中性条件を課した場合の相図に混合相が現れ、中性子星の内部構造に反映することを示した。
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Research Products
(28 results)