原始ブラックホールのホーキング輻射で生成される宇宙線反陽子の探索

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15340077
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 野崎 光昭 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (10156193)
• Keywords: 宇宙線反陽子 / 気球観測

Research Abstract

本研究の課題を達成するためには,BESS-Polar測定器を用いた,より低いエネルギーの反陽子の観測と長時間観測の2点が重要であり,本年度はこのような観測に不可欠の以下の2項目について開発を行った:超伝導ソレノイドの内側に設置される中間TOFカウンタは低エネルギー反陽子の検出に不可欠であり,データ集システムは大量のデータ処理,記録に不可欠である。
(1)中間TOFカウンターの開発と製作
光信号の読み出しに用いるマルチアノード光電子増倍管の性能評価試験を行い,量子効率,増幅率,光電面の一様性ともに十分な性能を有することを確認した。
シンチレータファイバーとクリアファイバーで作られたライトガイドを組み合わせて中間TOFカウンターを製作し,ビーム試験,宇宙線試験を行い,必要な時間分解能が得られることを確認した。最後にこれらをBESS-Polar測定器に組み込んで調整を進めている。
(2)データ収集システムの開発
チェンバーの信号読み出しに用いるFADCシステム,FADCやTOFカウンタ等の信号を読み出すためのフロントエンドエレクトロニクスからデータ処理用CPUへ信号送るUSB2.0規格に基づいたデータ転送システムを開発し,調整を進めている。また,大量のデータを記録するハードディスクの衝撃吸収機構を開発し,耐衝撃性能を試験し,問題のないことを確認した。

Research Products

• [Publications] M.Motoki, M Nozaki 他: "Precise measurements of atmospheric muon fluxes with the BESS spectrometer"Astroparticle Physics. 19. 113-126 (2003)
• [Publications] M.Nozaki: "BESS-Polar"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. B214. 110-115 (2004)