2005 Fiscal Year Annual Research Report
原始ブラックホールのホーキング輻射で生成される宇宙線反陽子の探索
Project/Area Number |
15340077
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野崎 光昭 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (10156193)
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Keywords | 宇宙線反陽子 / 気球観測 |
Research Abstract |
本研究の課題-原始ブラックホールのホーキング幅射によって生成される反陽子の探索-を達成するためには,BESS-Polar測定器を用いた,より低いエネルギーの反陽子の観測と長時間観測の2点が本質的に重要である。本年度は昨年度に実施した長時間観測のデータ解析と解析に必要となる検出器の性能評価を行った。 (1)南極で収集したデータの解析 昨年度に実施した南極周回気球観測で収集したデータを解析した。本研究で製作し,気球観測装置(BESS-Polar測定器)に搭載した中間TOFカウンタについては,所期の性能が得られていることが確認された。しかし,低エネルギー反陽子の識別に重要な役割を果たす主TOFカウンタについては,プラスチックシンチレーションカウンタの信号読み出しに用いた光電子増倍管の一部に予想以上のノイズが見られた。ノイズはTOFカウンタの時間分解能を劣化させるため,データ解析と並行してノイズの原因を特定すべく性能評価試験を行った(次項)。 今年度の解析では,本格的な物理解析に必要となる予備解析に集中し,飛跡検出器の位置分解能や飛行時間測定器の時間分解能を評価するなどのキャリブレーションや環境モニターデータの解析を主に行った。 (2)測定器の性能評価試験 事前の性能評価試験においては,全数の光電子増倍管について真空試験を行い,正常であることを確認したが,真空低温試験は行っていなかった。観測装置に搭載した温度モニターの解析により,光電子増倍管が気球観測中に予想を下回る低温に晒されたことが確認されたため,マイナス25度までの真空低温試験を行った。その結果,光電子増倍管のブリーダ部分で放電が起きることが一部の光電子増倍管で再現された。
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