2006 Fiscal Year Annual Research Report
原始ブラックホールのホーキング輻射で生成される宇宙線反陽子の探索
Project/Area Number |
15340077
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
野崎 光昭 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10156193)
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Keywords | 宇宙線反陽子 / 気球観測 |
Research Abstract |
本研究の課題-原始ブラックホールのホーキング輻射によって生成される反陽子の探索-を達成するためには,超伝導スペクトロメータによる粒子識別装置(BESS-Polar測定器)を用いた,より低いエネルギーの反陽子の観測と長時間観測の2点が本質的に重要である。本年度は平成16年度に行われた第一回南極周回気球フライトのデータ解析及び、平成19年度に予定されている太陽活動極小期における第二回南極周回気球フライトに向けた測定器改良、実験準備を進めた。第二回フライトに向けた各測定器の改良は下記の通りである。 (1)TOF PMT:第一回フライトで発生した低温低圧下で放電問題の対策のため、新たに気密容器デザインの最適化とアッセンブリを行った。恒温槽と圧力容器を用いた低温低圧下での長時間試験を行い、全数について容器気密性能及びPMT性能を試験し、本実験用PMTの選別を行った。 (2)エアロジェルチェレンコフカウンター:Geant4シミュレーションによる構造体の最適化、大型エアロジェルの再作成とアッセンブリを行い、第一回フライトからの性能向上を行った。 (3)Middle-TOF:従来の片側読み出しから両側読み出しにアップグレードを行った。 (4)ソーラーパネル電源系:第一回フライトデータにおける発電量を元に第二回フライト用に構造を最適化、新たに製作及びアッセンブリを行った。 (5)JET/IDCチェンバー:GNDラインの改良を行い、大幅なノイズ低減を行った。 以上の改良開発を行い、測定器全系をNASAゴダードスペースフライトセンターに輸送し、太陽活動極小期における第二回フライトに向けた最終調整を開始した。
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