2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340080
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野呂 哲夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30164750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相良 建至 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00128026)
坂口 治隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30025465)
畑中 吉治 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (50144530)
若狭 智嗣 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (10311771)
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Keywords | 陽子準弾性散乱 / 媒質効果 / 偏極 / 相対論的効果 / 国際研究者交流 / ロシア:南アフリカ |
Research Abstract |
1GeVのビームを用い行うべき実験の具体的検討を進め、^<16>Oを標的とした(p,2p)反応によって相対論的効果が抽出できる可能性があることを見出した。1GeVのビームを用いた実験では、反応の移行運動量を大きくとれる。一方、相対論的効果は核子の4成分波動関数(Dirac Spinor)の下成分の増大として現れる。(p,2p)反応の微分断面積にはその下成分の運動量方向と移行運動量とのスカラー積に依存する項があり、測定条件を調節することによって微分断面積の角分布に非対称性が現れるという訳である。1GeVでの実験として従来は^<40>Caを標的とするものを考えていたが、このアイデアを活かすために急遽^<16>O標的の実験も行うことにし、本年度後半はその実験のための^<16>O標的として氷ターゲットの開発を行った。その結果、標的の冷却にペルチェ素子を利用した、コンパクトで真空窓が充分に薄いものの製作に成功した。更に、ロシアでの使用環境に合わせて、真空中での設定角度の設定を超音波振動モーターで行う駆動装置も取り付けている。また、ロシアにおいては海外共同研究者であるMiklukhoを中心として、主としてデータ収集系の改造と整備が進められている。これらの開発・準備研究の結果を基に、この3月にはロシアのペテルスブルグ原子核研究所で実際の実験を実施する予定である。 これら実験面での準備に加え、10月から2ヶ月間、海外共同研究者のひとりであるHillhouse博士を招聘し、理論面からの検討を加えた。この日本滞在間に行った共同研究の結果は、論文として投稿中である。
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