2004 Fiscal Year Annual Research Report
積層カロリメターを使った高エネルギー中性粒子の分離
Project/Area Number |
15340083
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
稲垣 隆雄 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (60044757)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 任弘 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10013418)
イム ケヨブ 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (90332113)
関本 美知子 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50206637)
|
Keywords | 高エネルギー中性子とγの分離 / 積層型カロリーメーター / 石英結晶 / PWO結晶 |
Research Abstract |
本研究では、高エネルギー(GeV領域)の中性子とγ線を分離計測する測定法を開発することを目的とする。提案する方法は、光速に近い速度の粒子にのみ感度のあるチェレンコフ発光体と、あらゆる荷電粒子に感度がある蛍光体を積層したカロリメーターである。その際、中性粒子ビームライン上などで使用することを想定して、計数率が高い(高放射能)環境に適合することを目指している。 平成15年度(16年2月)にチェレンコフ発光体として結晶石英(6層42モジュール)、蛍光発光体としてプラスチックシンチレーター(36層)を使ったカロリメーター(BA1)を製作した。BA1では、シンチレーターが軽い物質から出来ているので、γ線に対する阻止能を増やすために2mm厚の鉛を36層各シンチレーター層に前置した。BA1の製作後、高エネルギー加速器研究機構・東カウンターホール内の中性粒子ビームライン(K0ライン)上に設置し、平成16年2月と平成17年2月の2度にわたって照射テストを行なった。中性子とγ線の分離には、シンチレーター36層内の信号の分布も有効に使えることが分かったが、プラスチックシンチレターに放射線損傷の効果も観測された。 平成16年度は、それらビームテストと平行して、蛍光体を、プラスチックシンチレーターから、より放射線耐性がよい無機シンチレーターPWO(鉛タングステート)結晶(80モジュール)へ変更するべく準備を行なった。変更後のカロリメーター(BA2)では、PWOの比重が大きいので鉛を挟み込む必要が無く、全層がアクティブな構成をとることが出来る。又、この間、高計数率に対応するために、光電子増倍管の電圧分割器をトランジスター化する研究も行なった。これらの準備は、15年度と16年度内におこなわれ、結晶と読み出し光電子増倍管ともども用意が出来ているので、平成16年10月から、変更後のカロリメーター(BA2)のビームテストに間に合わせることが出来る。 残念ながら、最終的な結果発表はまだ出来ていない。中性子とγの分離には、解析において全モジュールの詳しいゲイン合わせ等が必要な為で、平成17年度末以降になると予想している。 この間、ほとんど同じ動機から、中性子とγ両方に対する阻止能に優れた酸化ガドリニウム入りタングステン合金の開発を行なった。
|