2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340093
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 不二雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30200083)
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Keywords | フォトンエコー / ラビ振動 / 量子ドット / 励起子 / GaAs / 位相緩和 / 非マルコフ過程 |
Research Abstract |
GaAs/AlGaAs量子井戸の界面揺動によって作られたアイランド構造をGaAs量子ドットとし、フォトンエコー法を用いて、この系の励起子位相緩和過程を調べ、かつ励起子ラビ振動を観測した。励起子系の位相は減衰時間〜2nsで非常にゆっくりと減衰していることが判明した。さらに、励起パルスの強度を変化させるとフォトンエコーの信号強度が大きく変化することが判明した。励起強度の増加に伴いエコー強度は振動的に大きくなったり、小さくなったりした。この結果は結晶の基底状態と励起子状態の2つの準位間のラビ振動である励起子のラビ振動を観測していると考えられる。通常、位相緩和時間が非常に短いため固体中でラビ振動を明瞭に観測するのは難しいが、励起子の位相緩和時間が〜1nsと極端に長い我々の量子ドット中では比較的弱い励起強度でもラビ振動が観測できている。しかし、振動の様子は通常のラビ振動の様子とかなり異なっており、励起強度とともに周期、振幅とも変化する結果が得られた。この振る舞いは異なる量子ドット間の相互作用を考えると説明できた。 また、励起強度を極端に弱くするとフォトンエコーの減衰曲線に振動構造がこの系で観測された。温度を上げるとこの振動構造は顕著になり、フォノン系との非マルコフ的な相互作用による構造である可能性が考えられる。実際、フォトンエコー信号の時間変化を測定してみると、この振動は時間の短い領域でのみ観測され、非マルコフ的な時間領域特有の現象であることが確認された。振動周期を解析することにより、強く相互作用しているフォノンは量子井戸構造中でゾーンフォールドされた音響フォノンであることが判明した。
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Research Products
(6 results)