2005 Fiscal Year Annual Research Report
C60単結晶における励起状態の緩和ダイナミクスと光伝導機構
Project/Area Number |
15340098
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
神野 賢一 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80024339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 千尋 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (60211744)
秋元 郁子 和歌山大学, システム工学部, 助手 (00314055)
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Keywords | フラーレン / C_<60>単結晶 / 光キャリア生成 / 光キャリア生成 / 飛行時間測定 / フレンケル励起子 / 輸送過程 / 輸送過程 |
Research Abstract |
顕微ラマン散乱・蛍光と飛行時間型(TOF)光伝導の同時測定の実現によって、C_<60>単結晶におけるキャリア生成とその輸送過程、並びにその構造相転移との関連に関して以下の研究成果が得られた。 (1)C_<60>結晶における主要キャリアは電子である。 (2)TOF光伝導と同一条件下で発光を観測し、光電流強度の温度に対する振舞いは熱活性的であり局在励起子からの発光強度と逆相関であることを確認した。フレンケル励起子を媒介とした占有数移を仮定したフィッティングから、吸収端近傍ではフレンケル励起子が局在状態の発光中心に捕獲される前に活性化エネルギー99meVで熱解離しキャリアが生成すると示唆する結果を得た。 (3)光電流は時間のべき乗で減衰する分散型伝導を示す。これは分子表面の電子分布の不均一さと分子回転が各サイトのホッピング確率に分布をもたらすため、各サイトでのキャリアの滞在時間に連続的な分布が生じた結果と考えられる。 (4)250〜266Kで構造相転移を皮映した移動度の増大を確認した。これ分子配向の秩序化が、キャリア伝導経路に秩序をもたらしたためと考えられる。 (5)移動度は、250K付近でわずかに増加するものの、室温から200Kにかけて温度減少とともに単調に減少し、200K以下では一転して増加する傾向を示す。この移動度の複雑な温度変化は、キャリアホッピングと分子配向の秩序化の競合過程として、200K以上の温度領域の移動度の振舞いは温度減少に伴うホッピング確率の減少、200K以下はキャリア移動を容易にするような分子回転の変化に由来すると考えられる。 (6)従来、相転移にともなうと考えられていた〜155Kの光伝導度信号異常ピークは、200K近傍での移動度の増加に由来する可能性が高い。
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Research Products
(3 results)