Research Abstract |
本研究は,isothermal DLTS法,IR法,ESR法などにより,Si中のC, Pt不純物と水素との複合欠陥,GaN中のMg不純物と水素との複合欠陥,転位運動に対する水素の効果を主な対象として研究を行い,以下のような知見を得た。 1.赤外吸収(IR)法により,Si中の水素-白金複合欠陥による吸収ピークが一軸性応力によりどのように分裂するかを実験的に明らかにした。波数1880.7cm-1にPtH、1873.1cm-1と1891.9cm-1にPtH_2のピークを観測し,0.16GPaの応力下での分裂したピーク強度比が理論値に近いものとなった. 2.Si中のH-C複合欠陥の配向度変化には二つの段階があることが分かった.第一段階は分解を伴う熱的配向緩和で,急激に配向度変化が起こる.これは,<110>応力に対して低エネルギー側に配向したトラップ密度の減少が主な原因であり,このことから,一旦<110>応力を印加した試料では,応力に対して低エネルギー側と高エネルギー側に配向したE3トラップの構造がそれぞれ異なっている可能性がある事が初めてわかった. 3.水蒸気および水素プラズマ照射処理によるGaNの青色発光増大はMgドープp型GaNに特有な現象であることが分かった.また,この増大した青色発光は,500℃より低い温度で安定であり,この熱的な安定性はas-grownの青色発光と同じであることを確認した. 4.歪緩和SiGe/p-Si, Si/Si, SiGe/n-Siについて水素処理後にSR測定を行った結果,歪緩和SiGe/Si, Si/Siでは,水素処理時に膜の下になっていた基板部分が高抵抗化することが分かった.これから,SiGe/SiでSiGe膜中からも侵入しなかった原因は,膜の圧縮歪のためであるということが分かった.
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