2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340103
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
江馬 一弘 上智大学, 理工学部, 教授 (40194021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
欅田 英之 上智大学, 理工学部, 助手 (50296886)
竹岡 裕子 上智大学, 理工学部, 助手 (50338430)
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Keywords | 励起子 / 有機・無機複合型物質 / 非線形光学 / 量子井戸物質 / 結合励起子 / 多重量子井戸ポラリトン |
Research Abstract |
近年、有機物と無機物を混合した有機・無機複合型物質が得られるようになり、有機物、無機物が独立に存在する場合には見られない特異な物性に注目して研究が行われている。特に無機井戸層の中には非常に安定な励起子が存在し、その非線形性が既存の物質の中で最大であることがわかっている。本研究では、励起子物性研究に最適な無機有機複合型量子井戸物質を用いて、その大きな非線形性の起源を解明することを目的とした。具体的には以下の点に的を絞り研究を進めた。 (1)高速のスピン緩和と非線形性の関係を明らかにした。申請者は、スピン緩和が大きな非線形性の重要な起源になっていると予測し、縮退4光波混合法を用いて非線形信号とスピン緩和の関係を詳細に調べた。その結果、スピン緩和が励起子の非線形に重要な寄与をしていることが判明した。 (2)スピン緩和と他の非線形パラメータとの関係を明らかにし、さらに大きな非線形性を有する材料の開発に対する指針を与える。7準位モデルを用いて、非線形性の定量的な解析を行い、スピン緩和とそれ以外の非線形性の起源(励起子緩和、励起子分子形成、飽和効果など)との関係を詳細に調べたところ、残念ながらスピン緩和が非線形の起源になっても、大幅な非線形性の増大は得られないことが判明した。 (3)以上の結果は、励起子を用いた非線形材料としては悲観的な結果であるが、材料物性のみならず、電磁場との結合の仕方を制御することで、非線形性の増大の可能性を見出した。本物質では理想的なゆらぎのない井戸層を有しているため、井戸垂直方向に多重量子井戸ポラリトンが形成される。ポラリトン結合としての超放射モードを利用することで、非線形性の増大を狙う道筋を開拓した。
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Research Products
(4 results)