2004 Fiscal Year Annual Research Report
音響放射圧を用いた固体ヘリウムの結晶成長制御と新しい量子界面ダイナミクス
Project/Area Number |
15340114
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 竜司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00323783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 雄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50135670)
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Keywords | 量子固体 / 量子液体 / 超音波 / 音響放射圧 / 結晶成長 / 異方的界面 / 非線形音響効果 / ステップ |
Research Abstract |
我々は超音波を用いるとヘリウム4結晶を自由に成長、融解、核生成できることを見出した。これは音響放射圧によるものと考えている。量子力学的に解釈すれば、放射圧とはフォノンが表面で反射したとき、その運動量が表面に渡されて力を受けるというものである。物体を動かす力としては音から良く知られていたが、これが結晶成長のような一次相転移を駆動するかどうかなどは全く知られていなかった。表面の易動度が大きなヘリウム4で始めて明らかになった。この放射圧を用いれば結晶表面を簡単に大変形することが可能であり、異方的表面の高速動力学を高速度カメラを用いて観測した。 超音波照射中のファセット面の成長速度を調べたところ、その成長速度は用いた駆動力に対して異常に速いものであった。過去の実験によって調べられたステップ易動度から見積もられるより数1000倍も速く成長することを発見した。何か新しい機構でファセットが成長していると考えられる。通常ステップの運動は拡散してきた原子が付着して進行し、二つのステップが衝突すると互いに消滅する。しかしステップ易動度の大きいヘリウム4では全く異なる現象が起こる可能性がある。Parshinによって最近提唱されたモデルによると、ステップが高速で衝突するときその運動に付随する超流体の慣性により、ステップは消滅せずに新しい面に乗り上げて増殖することがありえる。我々の場合、超音波の圧力振動でステップが加速、増殖し、音響放射圧で一方向に駆動されるとしてモデル化したところ実験結果をよく説明した。新しいタイプのステップ運動と成長機構を発見したと考えられる。
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Research Products
(3 results)