2003 Fiscal Year Annual Research Report
反応・拡散・対流系に自己組織されるラセン状対流波の階層構造とその重力効果
Project/Area Number |
15340125
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三池 秀敏 山口大学, 工学部, 教授 (10107732)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 智彦 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (70358232)
野村 厚志 山口大学, 教育学部, 助教授 (40264973)
羽野 光夫 山口大学, 工学部, 教授 (70108265)
雨宮 隆 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (60344149)
横山 悦郎 学習院大学, 計算機センター, 教授 (40212302)
|
Keywords | 反応拡散系 / 自己組織化 / ラセン状対流波 / 階層構造 / パターン形成 / BZ反応 / 流体現象 / 散逸構造 |
Research Abstract |
今年度は、ラセン状対流波の発生メカニズム理解のために、反応拡散系と対流現象が結合する事により新たに形成される階層的散逸構造という視点からいくつかの実験と数値解析を行った。また、12月中旬に「非線形科学の深化と情報科学への応用」研究会を主催することで、関連する研究者との交流を深めた。さらに、対流波の重力効果(長波長のマランゴーニ効果が関連する)がメカニズム解明の糸口になると考え、日本宇宙フォーラムが主催する化学物理研究会のメンバーとして発表・討論を重ねて来た。長波長のマランゴーニ効果では、微小重力下での新たな散逸構造の出現も期待され、界面の微小な変形がキーポイントとなる。ラセン状対流波など反応拡散波(化学反応波)の伝播に伴う、微小変形波の出現は、反応物質の濃度分布の不均一に起因する溶質性マランゴーニ効果がもたらすものである。通常の化学反応波で約0.8μm、ラセン状対流波の場合に約3μm、大きな対流現象を伴い加速伝播するBig Waveの場合には6μm以上となる事をマッハツェンダー干渉計等の導入で確認している。 今までに、界面の変形を考慮しない反応・拡散・対流モデルでの数値解析を進めてきたが、単一の化学反応波の波頭前方に長く伸びる対流構造の存在を説明できていない。九州大学甲斐教授、猪本助教授、京都大学吉川教授、産総研山口主任研究員、広島大学三村教授、国際基督教大学北原教授等との議論を重ね、現時点では、Iodate-arsenous acid系での加速伝播(O.Inomoto et al. 2003)のように発生する沃素の空気中での高速拡散と水溶液界面への再付着という図式では説明できないことを確認している。「非線形科学の深化と情報科学への応用」研究会では、反応拡散+流体現象のセッションを設け、4人の若手研究者の発表を得た。この中で本研究の研究分担者の野村が「溶液界面に弾性幕を仮定したBZ反応の数値実験」を発表し、界面変形の無いモデルでの可能性を吟味した。溶液の深さが1mm以下ということから、通常の浮力による対流の効果は無視できるが、長波長マランゴーニ効果での重力の影響の重要性・敏感性を考慮し、微小重力下での対流波の挙動の観察を来年度の主たる実験項目として取り上げている。 今年度の研究成果は、対流波による界面変形の計測・ラセン状対流波の実験に関する論文2編、微小な界面変形を高感度に検出する干渉縞解析法の提案論文1編、化学反応波に伴う流体現象のレビュー論文2編、反応拡散モデルを画像情報処理に応用したもの2編を始め、国際会議等でも発表を行ってきた。来年度は、Oscillations and Dynamic Instabilities in Chemical Systems(July 18-23,2004)のGordon国際会議や第2回マランゴーニ国際会議(IMA2:July 14-17)が開催されることもあり、対流波の重力効果を中心に実験を行い成果報告する予定である。また、このための予実験や日本宇宙ファーラムへの実験補助申請等を現在進めている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 海老原麻由美, 真原 仁, 櫻井建成, 野村厚志, 長 篤志, 三池秀敏: "反応拡散モデルによるノイズを含む画像・低コントラスト画像からの領域分割とエッジ検出"画像電子学会誌. 32. 378-385 (2003)
-
[Publications] T.Sakurai, H.Miike, K.Okada, S.C.Muller: "Spiral Flow Wave in a Reaction-Diffusion-Convection System"J.Phys.Soc.Japan. 72・9. 2177-2180 (2003)
-
[Publications] A.Nomura, M.Ichikawwa, H.Miike, M.Ebihara, H.Mahara: "Realizing Visual Funct-ion with the Reaction-Diffusion Mechanism"J.Phys.Soc.Japan. 72・9. 2385-2395 (2003)
-
[Publications] 岡田耕一, 横山悦郎, 三池秀敏: "逆余弦関数による干渉縞解析法の提案"電子情報通信学会論文誌. D-II 86. 1420-1430 (2003)
-
[Publications] T.Sakurai, O.Inomoto, H.Miike, S.Kai: "Structure of Surface Deformation Waves Induced in Spiral Pattern in the Belousov-Zhabotinsky Reaction"J.Phys.Soc.Japan. 73・2. 485-490 (2004)
-
[Publications] H.Miike, T.Sakurai: "Complexity of Hydrodynamic Phenomena Induced by Spiral Waves in the Belousov-Zhabotinsky Reaction"Forma. 18. 197-219 (2004)