2004 Fiscal Year Annual Research Report
希土類原子Ybを用いた新しい量子縮退系の実現とその新展開
Project/Area Number |
15340134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 義朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40226907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊倉 光孝 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30324601)
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Keywords | レーザー冷却 / ボース凝縮 / 光トラップ / Yb原子 / 蒸発冷却 / フェルミ縮退 / 周波数安定化 / 混合気体 |
Research Abstract |
イッテルビウム(Yb)原子は時間反転対称性やパリティといった基本的対称性の破れの研究から、光周波数標準への応用など、基礎から応用まで大変興味をもたれている。これまでに超高密度光トラップ、ボソン・フェルミオン混合系の協同冷却効果の観測、光結合による超低温Yb分子生成、などに成功しているが、本年度の業績としては、以上の成果をさらに発展させて、様々な改良をおこなって光トラップ中の蒸発冷却を最適化することにより、位相空間密度を増大させることに成功し、^<174>Yb原子のボース凝縮体を安定に生成することに成功した。 また、蒸発冷却の振る舞いが、同位体によって大きく異なることも実験的にたしかめた。特に、^<176>Yb原子と^<172>Yb原子について、蒸発冷却の実験を集中的に行い、^<176>Yb原子については、効率のいい蒸発冷却が行えることがわかった。BECに極めて近い条件まで、せまることができ、さらに、大きな異方性をもった広がり方をすることがわかった。一方、^<172>Yb原子は、あまり効率がよくないことが分かった。さらに、本研究では高出力かつ高安定な連続レーザー冷却用光源が必要となるが、この目的のため、我々は高フィネスのULE共振器を真空容器に設置し、これによる、色素周波数の絶対安定化により、極めて安定なレーザー冷却実験を行うことができるようになった。 フェルミオンの同位体についても量子縮退をほぼ実現することに成功した。フェルミオンの同位体では量子統計性から弾性散乱が抑制されるため効率的な蒸発冷却が期待できない。それを克服するために、フェルミ粒子にボース粒子を混合しその間の弾性衝突によりフェルミ粒子を冷却する方法(協同蒸発冷却)および、スピンの異なるフェルミ粒子間の衝突を利用した蒸発冷却法のどちらに対しても効率的に冷却することができた。
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Research Products
(4 results)