2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340138
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
今井 正幸 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (60251485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 香織 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (50323861)
浦上 直人 山口大学, 理学部, 講師 (50314795)
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Keywords | ソフトマター複合系 / 枯渇相互作用 / 棒状コロイド粒子 / 両親媒性分子 / リン脂質膜 / 秩序メソ構造 / マイクロドメイン / オニオン構造 |
Research Abstract |
生体系モデルとしても重要と考えられる以下の4つのソフトマター複合系について、ソフトマター物理の観点から生体系での秩序形成がどの程度理解されるのかを実験・シミュレーション技法を用いて検討した。 1)液晶分子+高分子複合系 ウイルス等の生体棒状粒子と生体高分子混合系が示す極めて低い濃度での秩序形成を枯渇相互作用の観点から明らかにする。平成16年度は、タバコモザイクウイルス(TMV)とポリスチレンスルフォン酸ナトリウム(PSSNa)を用い、TMVの凝集構造と添加高分子の慣性半径の関係をAFMにより検討し、計算機シミュレーション結果と比較した。シミュレーションと実験の間には数倍の差があり、その原因として正電相互作用の影響が考えられ、その点について来年度検討を進める。 2)界面活性剤膜+高分子(コロイド粒子)複合系 界面活性剤がつくるミセル相に球状コロイド粒子(ポリスチレンラテックス)を加えることにより、ミセルの形態が棒状から球状に転移することを見いだし、枯渇相互作用の観点からその実験事実を説明する事ができた。このような、コロイド粒子の添加による膜の形態転移を示した初めての例であり、来年度はこの現象の普遍性を検討して行く。 3)界面活性剤膜+両親媒性ブロック共重合体複合系 界面活性剤がつくる2分子膜に両親媒性ブロック共重合体を埋め込んだ時、膜間相互作用および膜の弾性的挙動にどのような影響を与えるのかを実験的に検討した。非イオン性界面活性剤(C12E5)と、両親媒性高分子として3元共重体Pluronicsを用い、親水鎖の長さが膜間距離に近くなると高分子鎖を含んだ膜間距離の大きいラメラ相と界面活性剤主体の膜間距離の小さいラメラ相への2相分離を起こし、後者はマルチレイヤーベシクルを形成する事を明らかにした。 4)リン脂質複合膜系 不飽和リン脂質・飽和リン脂質.コレステロール複合膜系で観察されるマイクロドメイン構造の形成過程について検討し、中性子小角散乱法により、小さいベシクルでは発芽が見られない事、およびマイクロドメインの組成が温度に依って変化することを初めて見いだした。
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Research Products
(6 results)