2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15340138
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
今井 正幸 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (60251485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 香織 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (50323861)
浦上 直人 山口大学, 理学部, 講師 (50314795)
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Keywords | ソフトマター複合系 / 生体モデル / 両親媒性分子 / 高分子 / 液晶 / ラフトモデル / 発芽現象 / 枯渇相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生体系モデルとしても重要と考えられる以下の3つの異種ソフトマター複合系について、その秩序形成機構をソフトマター物理の観点から、実験・シミュレーション技法を用いて明らかにすることである。 1)液晶分子+高分子複合系:生体系ではタンパク質・ウイルス・アクチンフィラメントなどの異方性分子が高分子の添加により結晶化やネマティック液晶化などの秩序形成することが知られている。本研究では、生体高分子のように高分子鎖の剛直性が高い場合は、従来知られているよりも2桁から3桁ほど強い引力相互作用(枯渇相互作用)が棒状ウイルス間に働く事を見出した。 2)界面活性剤膜+高分子複合系:生体中では、分子膜が層状にスタックしたラメラ構造があり、ラメラ層間の水相には多くの生体高分子が溶け込んでいる。本研究ではラメラ膜間に、コロイド粒子・水溶性高分子を添加すると、高分子の場合は膜間に引力相互作用が、コロイド粒子では斥力相互作用が誘起される事を見出し、膜間に存在するソフトマターの種類によって膜間相互作用が大きく変化する事を明らかにした。 3)界面活性剤膜+両親媒性ブロック共重合体複合系:生体膜は、脂質膜内に蛋白質や糖脂質分子等の両親媒性分子が埋め込まれた状態で存在している。本研究では、両親媒性高分子を界面活性剤分子膜系に埋め込んだ場合、その高分子鎖の拡がりにより膜の曲げ弾性率が増大し、膜間に斥力相互作用が誘起される事を明らかにした。このように膜に高分子鎖をグラフトすることにより膜の弾性的性質が変化する事を見出した事は、今回の申請で生体膜の秩序化を考える上での基盤となっている。 以上みてきたように、この研究では生体系に題材をとったソフトマター複合系での秩序形成および相互作用の基本的理解を大きく進める事ができた。
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Research Products
(6 results)