2003 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧下その場ラマン分光法による地球惑星内部物質の化学結合状態の研究
Project/Area Number |
15340146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船守 展正 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (70306851)
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Keywords | 高温高圧下ラマン分光 / 地球惑星内部物質 |
Research Abstract |
4年計画の初年度にあたる本年度は、高温高圧下その場ラマン分光技術の確立に向けた各種試験とそれに基づいた装置改良を進めた。 常温常圧におけるラマン分光との主な違いは、(1)高圧発生部に使用されるダイヤモンドの蛍光、および(2)高温部分からの輻射光がラマン信号の測定を妨害することにある。(1)については、低蛍光のダイヤモンドを使用することや、ラマン信号励起用のアルゴンイオンレーザー光を信号測定系と30°程度の角度をもたせて入射する斜入射光学系を採用することで大きく改善することができた。(2)については、試料の加熱方法を工夫した。従来のYAGレーザーによる試料の加熱(レーザー加熱法)では、試料状態の変化に伴ってレーザー光の反射・吸収の程度が大きく変化することから、温度を一定に保つことが困難であった。測定中に短時間でも温度の急激な上昇があると、強い輻射光のためにラマン信号の測定が不可能になる。本研究では、高圧セル全体を抵抗発熱体(シースヒーター等)で加熱する方式(外熱法)を採用することで800K程度までの安定した高温発生を実現し、質の高いラマン信号の測定が可能であることを確認した。現在、外熱法による1300Kの実現を目標に新型の高圧セルを設計中である。また、外熱法とレーザー加熱法を組み合わせることで1300Kよりも更に高い温度の安定した発生が可能になるものと思われる。 次年度も引き続き装置改良を進めるとともに、地球惑星深部物質に対する実験を本格的にスタートさせる予定である。
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