2004 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧下その場ラマン分光法による地球惑星内部物質の化学結合状態の研究
Project/Area Number |
15340146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船守 展正 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70306851)
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Keywords | 高温高圧下ラマン分光 / 地球惑星内部物質 / 二酸化テルル |
Research Abstract |
4年計画の2年目にあたる本年度は、初年度に行った装置の立ち上げと各種性能試験の結果に基づき、さらに装置の改良を進めるとともに、硫黄と二酸化テルルについての実験を行った。硫黄に対する実験は、液相-液相間の相転移の有無を調べることを目的としている。高圧セル全体を抵抗発熱体を用いて安定に加熱することで硫黄の結晶が融解する様子をラマン分光法により明瞭に観察することができた。しかしながら、現在のところ、液相-液相間の相転移は検出されていない。今後、圧力温度領域を拡げて相転移の探索を継続する予定である。 二酸化テルルに対する実験は、二酸化物における最充填構造の探索を目的としている。現在までに知られている二酸化物の最も密な構造は、陽イオンが9個の酸素イオンに囲まれるPbCl2型の構造(9配位)である。容易に入手できる二酸化物の中で最も大きい陽イオン半径を持つ二酸化テルルは、より充填率の高い10配位以上の構造を探索するための最有力候補物質である。二酸化テルルに対し、約150万気圧までの圧力領域でラマン分光とX線回折を行い、レーザー加熱により、約80万気圧でPbCl2型の構造から新しい構造へ相転移することを確認した。現在、新しい高圧相の構造を決定するためのデータ解析を行っている。地球惑星科学的に重要な二酸化炭素や二酸化ケイ素も、巨大天体内部の超高圧高温条件下では、PbCl2型の構造や、二酸化テルルで見つかったような、さらに充填率の高い構造をとる可能性がある。
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Research Products
(1 results)