2004 Fiscal Year Annual Research Report
VLBIおよび4-Wayドプラーデータによる月裏側重力異常の推定
Project/Area Number |
15340151
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
河野 宣之 国立天文台, 電波研究部, 教授 (10186116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 英夫 国立天文台, 電波研究部, 助教授 (60132677)
小山 泰弘 情報通信研究機構, 鹿島宇宙通信研究センター, 主任研究員 (30359054)
吉川 真 宇宙航空研究開発機構, 宇宙情報・エネルギー工学研究系, 助教授 (70311173)
河野 裕介 国立天文台, 電波研究部, 上級研究員 (00370106)
並木 則行 九州大学, 理学研究院, 助手 (50274428)
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Keywords | VLBI / 4-Wayドプラー / 月 / 月裏側 / 重力異常 / 内部構造 / SELENE |
Research Abstract |
昨年度までに、データ処理・解析ソフトウエアの大略が完成したので、今年度は、高精度化のために残された重要課題について実験、理論的検討を行うと共に、月を周回するSELENEのための予備実験として地球から十分遠方を航行する"はやぶさ"を、予定されている外国局の中国2局とオーストラリア1局を含めてVLBI観測を行い、期待される測定精度(位相測定精度にして10度、SELENEの周波数配置の場合、月付近で20cmの位置決定精度が期待できる)を得た。以下に、平成16年度に得られた具体的な成果について述べる。 衛星スピンによる4-Wayドプラーへの影響については、SELENE搭載と同等のアンテナを用いて、地上で測定し、新たな解析方法を用いて十分補正できることを明らかにした(IEEE,2004)。2)わが国の惑星探査機"はやぶさ"を受信して、搬送波と2サイドバンドを日本とオーストラリア、中国局の間でVLBI観測を行い、目標精度を達成できた(EPS,2004)。3)VLBI観測において、地球大気による位相変動量はこれまでQSOのVLBI観測におけるコヒーレンスの低下などから推定されてきたが、静止衛星のビーコン波をVLBI観測して短期(数秒)から1日にわたる広範囲の位相変動の特徴を直接求めた(IEEE,2005)。4)SELENEから得られる重力異常から月内部構造の議論をするため、現在考えられる最も確からしい内部構造モデルを作り、またこのモデルから予想される月の物理秤動の推定を行った。内部構造モデルについては、従来のクラスト+マントル+中心核だけでは説明できない事象に注目し、各層の厚さや密度などのパラメーターを想定した多層モデルをロシアの理論研究者と共同で作り上げた(EPS,2005)。
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